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【プロット】傷を負った執事が、軍事基地に

 A国の軍事基地では、格闘術の訓練が行われている。

 古今東西の様々な師範、マスター、世界チャンプなど一流が集められる。

 今日やってきたのは、スーツ姿の女だった。

 格闘技用マットの上で、20人ほどが一列に並んだ。

「私は執事です」

 会場にどよめきが起こった。

「予想通りの反応ですね。

 格闘技の訓練に、なぜスーツ姿の執事が?

 場違いですよね」

 筋骨たくましく、鋭い眼をした男が前に進み出た。

「何かのマスターなのだろう。

 俺はお喋りが苦手でね。

 ご教授願えるかな」

「実は今朝皿を割って怪我してしまいまして、右手が使えません。

 でもご心配なく」

 執事は右手を後ろに回して、膝を緩め腰を落とした。

「ちっ」

 舌打ちした男は、明らかに苛立っていた。

「来なさい」

 左手を前に突き出し、指を返してジェスチャーする。

 待ちきれない、とばかりに足元まで身を沈めた男が地面すれすれに突進する。

 片足タックルを見舞った。

 だが両手は空を切り、もんどり打って転がってしまった。


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