表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

208/317

【プロット】偽りの仮面

古びた洋館に住む、孤独な青年、透。

彼は、亡き祖父から受け継いだ屋敷で、唯一の形見であるアンティークの人形と暮らしていた。

その人形は、透の亡き祖母に瓜二つで、精巧な作りとどこか寂しげな表情が特徴だった。

ある嵐の夜、透は屋敷の屋根裏部屋で、古い日記帳を見つける。

それは、彼の祖父が書いたもので、中には衝撃的な事実が記されていた。

「妻は、もうこの世にはいない。

だが、私は彼女を忘れられない。

だから、私は最高の職人たちに依頼し、彼女と全く同じ姿をした人形を作らせたのだ」

日記帳を読み終えた透は、愕然とする。

彼が祖母だと思い込んでいたのは、実は精巧に作られた人形だったのだ。

そして、その人形は、祖父によって命を吹き込まれた、一種の「偽物」だった。

その日から、透は人形を見る目が変わった。

以前は温かい眼差しを向けていたが、今は冷たい視線を送るようになってしまった。

人形は、何も言わず、ただ静かに透を見つめ返している。

ある日、透は人形に話しかけた。

「君は、偽物だ。僕の祖母じゃない」

すると、人形はゆっくりと口を開いた。

「私は、あなたのお祖母様ではありません。

ですが、あなたのお祖母様を愛していた人の想いが、私の中に宿っています。

私は、その想いを伝えるために、ここにいます」

人形の言葉に、透は心を揺さぶられる。

彼は、人形の中に宿る祖父の愛を感じ、そして、偽物であっても、そこに存在する意味があることを理解した。

透は、人形を祖母のように大切に扱うようになった。

そして、屋敷に再び温かい光が灯った。

人形は、偽物かもしれない。

だが、透にとって、かけがえのない存在となったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ