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【プロット:ファンタジー】魔法薬を運ぶ薬草使い、不治の病に苦しむ王女を救うため、危険な森でしか採れない薬草を探す

 フレッドは、両手を茎にかけると腰を伸ばして力いっぱい引っ張り上げた。

「ギィイイ ───」

 マンドレイクの奴が、金属を引っ掻いたような不快な声を出して抵抗した。

 構わずに何本か抜くと、ヒソップの葉を刻んで浸した水に放り込んだ。

 こいつは、変身術を解いたり、回復や解毒にもなる万能薬の元である。

 マンドレイクの薬草ができ上ると、腰のポーチ一杯に詰めて街を出た。

 城門を出たところで、星の砂を足元に蒔いた。

 身体がフッと浮き上がり、目的地の世界樹の森までひとっ飛びだ。

 心臓病を患っている王女を救う薬の素を集めるために、危険な森に足を踏み入れる決心をしたフレッドは、拳をグッと握り直して歩き始めた。

 世界樹の葉を数枚詰んでから、守護神のドラゴンが現れるのを待った。

 果たして、数匹の龍が上空を舞い、口から炎を吐いて襲いかかってくる。

 武器を持たずに突っ立っているフレッドの右手には、アルラウネの涙を結晶させた石が握られていた。

 炎に身を焼かれながらもフレッドは薬草と復活の薬で身体を再生し続け、近づいてきたドラゴンに手を伸ばした。

 飛びつきざまに、奇跡をもたらすとされるドラゴンの鱗を一枚剥がし、しっかりと握ったまま地に倒れたのだった。

 体中が焼けただれたフレッドの上に、小さな妖精が舞い降りる。

 一部始終を見守っていた妖精は、彼の勇気と覚悟に感動の涙を流した。

 魔法薬の効果を高めるとされる、妖精の涙がフレッドの背中を濡らすと、眩い光が辺りを照らす。

 火傷が小さくなり、立ち上がれるようになったフレッドは街へと戻り、最後の力を振り絞って王女のために薬を調合した。

 王女は薬のお陰で元気になり、恩人のフレッド問う。

「なぜ、武器も防具も身につけず、危険な森に挑んだのですか」

 フレッドはポーチからマンドレイクの薬草を取り出すと傷口に塗りながら、

「それは、私が薬草屋だからです、王女様」

 お礼にと用意した財宝を断り、フレッドはまた、まだ見ぬ薬草を求めて野に降りて行くのだった。


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