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【プロット】真実の鏡

雨上がりの街は美しい。

石畳の路地を濡らした雨水が、夕日に照らされてキラキラと輝いていた。

雨は、いつの間にか上がり、心なしか空気が清々しい。

細い路地を歩いていると、古びた蔵造りの建物に目を留めた。

その建物は、黒ずんだ壁に蔦が絡まり、どこか怪しげな雰囲気を漂わせていた。

「こんなところに、こんな建物があったなんて」

吸い込まれるように、その建物へと近づいていった。

扉には鍵がかかっておらず、軽く押すと開いた。

薄暗くひんやりとした空気が鼻孔を突いた。

埃っぽい匂いが広がり、足音だけが静寂の中に響く。

奥へと続く廊下を進むと、開け放たれた部屋に行きついた。

部屋の中央には、大きな鏡がぽつんと置かれていた。

その鏡は、周りの薄暗さとは対照的に、不思議な光を放っていた。

私は、鏡に引き寄せられるように近づいていく。

鏡の前に立つと、自分の姿が映った。

しかし、それは普段の自分とはどこか違っていた。

鏡の中の私は、穏やかな笑みを浮かべている。

まるで私自身が、笑ってと話しかけてくるようだった。

その時、鏡の中から声が聞こえた。

「ようこそ、私の世界へ」

驚いて振り返ったが、そこには誰もいない。

声は、確かに鏡の中から聞こえてきたのだ。

「あなたは、誰」

恐る恐る尋ねた。

「私は、あなたの心の鏡。あなたが、本当に求めているものを映し出す者」

鏡の中の自分は、優しく微笑んだまま、何も答えない。

見つめ合いながら、心の奥底に問いかけた。

「本当は何がしたいんだろう」

すると、鏡の中の自分は、ゆっくりと口を開いた。

「あなたは、自由になりたいと願っている」

「自由 ───」

今までの人生で、本当に自分が望むことをしてこなかった。

いつも誰かの期待に応えようとして、自分の気持ちを押し殺してきた。

「自由になりたい」

鏡の中の自分に向かって、心の底から叫んだ。

すると、鏡のまばゆい光が、私の体を包み込んだ。

気がつくと、見慣れた部屋にいた。

窓の外には、雨上がりの青空が広がっていた。

鏡の中の自分との出会いをきっかけに、自分の人生を見つめ直すことができた。

そして、本当に自分がやりたいことを探し始めた。

あの不思議な体験は、夢だったのかもしれない。

しかし、私の中で何かが変わった。

雨上がりのように晴れやかな気持ちで、新しい一歩を踏み出したのだった。


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