111/317

【プロット】公安警察の不安症の忍者

　最後の実践忍者として有名な高見庄司の内弟子だった内藤は、あらゆる格闘技と武器に通じるリーサルウエポンと化した。

　国際テロ組織に立ち向かう公安警察に配属されてからというもの、毎日監視カメラの映像を分析して危険因子を探している。

　極限まで肉体を鍛え上げ、武の真髄を追求してきたからか、一日中椅子に座っていると気分が酷く落ち込む。

　情けない話だが、地上最強と言われる実践忍者の最大の敵はメンタルヘルスである。

　ついに心と体のバランスを崩し、朝起きられなくなった。

「不安障害ですね。

　安定剤と睡眠導入剤をお出しします」

　医者は淡々と言った。

　「不安障害」になると疲れやすくなって頭痛が起き、落ち着きがなくなる。

　原因がわかったものの簡単には治らないと分かって、余計に落ち込んだ。

　「うつ病」ではないかと聞いてみたが、違うようである。

　メンタル不調の診断はとても難しい、と言われてもやもやしながら仕事に復帰した。

　仕事のストレスが原因のようだ、というが無差別テロをやるような外道が相手なのだから手抜きはできない。

　そんなある日、成田空港の映像に怪しい人物を発見した。