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パイソンは夜の村を歩く。
マルコは悪い奴じゃないだろうし、意地悪で言っているわけでもない。でも…それでもやはり、納得がいかない。
帰りを待つ人たちが居て、当人たちも帰りたいと思っている。それなら帰らせてやるべきじゃないだろうか?
もちろん、マルコの説明もちゃんと聞いていた。
だが、自分たちが脱走奴隷、犯罪者扱いというのも納得できない理由のひとつだ。
俺たちは理不尽な暴力で捕まり、無理矢理奴隷化された。なのに逃げたら脱走奴隷、犯罪者だなんて… そんなもの納得出来るわけがない。
パイソンはエルフたちが住むテントの前まで来た。
「…」
なんと声をかけようか?
「あら?」
パイソンが悩んでいる間に中から1人のエルフの女性が出てくる。どうやら気配でパイソンに気がついたようだ。
「…すぐに荷物を纏めるんだ。」
「えっ…?」
「大丈夫、見張りはいない。すぐにここを抜け出すんだ。」
「…あの?」
「北東に行けばアーニエルに抜けられる峠がある。そこまで送るよ。そこから、自分たちの国を目指すんだ。」
「っ!?」
それはパイソンが密かに集めた情報だった。
だが、どうもエルフの反応が悪い。
「…どうしたんだ? 早くした方が…」
「…その… ごめんなさい……」
「…えっ……?」
返ってきたのは拒絶の言葉。
「…どうして!? 故郷へ、みんなに逢いたくないのか!?」
「そんなわけないでしょ!!」
その言葉に理解ができないパイソンに強い声がぶつけられる。
「逢いたいですよ!帰りたいですよ!! でも… どうするんですか! アーニエルに行ってからは?その先は?? 食料もない、お金もない、伝もない、道も知らない… それでどう、帰るというのですか!!!」
感情が爆発したように、エルフは言葉を捲し立てる。
「それは……」
「私たちは女も多く力もなければ体力もない。子供たちだっている。そんな博打みたいなこと、帰りたくても出来ないんですよ!!」
怒っているのか、泣いているのか、ただその言葉の一つ一つがパイソンの胸に刺さった。
「…すまない。」
謝るパイソンにエルフははっとした。
「そ、その… 私たちを思ってくれたのですよね? こちらこそごめんなさい…」
「…すまない。」
「…その、ごめんなさい……」
テントへと戻るエルフを見つめられず、パイソンはただ頭を下げていることしか出来なかった。
…はぁ……
パイソンはとぼとぼと村を歩く。
少し考えればわかるようなことだった。
それなのに自分のやったことは、足らない自分の考えを押し付け、彼女が押さえ込んでいる想いに不用意に触り、いたずらに彼女を傷つけただけだった。
「…はぁ……」
自分の馬鹿さに嫌気がさし、ため息がこぼれた。
「あれ? どうしたんすか??」
突然後ろから声をかけられ、パイソンはビクッと振り返る。そこには若い2人の猫人族が居た。
「あっ、えっと…あんたらは?」
まさかエルフたちを逃がそうとしていたなんて答えられるわけがない。
パイソンは誤魔化すように聞く。
「ん? ああ、これはすまないっす。俺はタイガ、こっちは妹のリオっす。」
「よろしく。」
「あっああ… 俺はパイソンだ。」
ニカッと笑うタイガにパイソンは答えた。
「で、パイソンはこんな夜にどうしたの?」
誤魔化そうとしたが目敏くリオに聞かれてしまう。
「いや、…自分の馬鹿さに嫌気がさしてな。少し1人になりたかったんだ。」
「わかる!わかるっすよ!!」
とりあえず本題をそらして今のことを答えるとタイガがガシッと手をとってきた。
「あーやっちゃった、失敗したってなると無性に1人になりたくなるっすよね。俺もっすからすっげぇわかるっす!!」
「はいはい、おにい。引かれてるわよ。」
「はっ!? すまないっす。でもそういう時って1人でうだうだしてもドツボに嵌まってだいたい良い結果にならないっすよ。」
「…はぁ、」
なんだこいつ?
良く言えば人懐っこく、悪く言えば馴れ馴れしい。正直、パイソンの少し苦手とするタイプだ。
「…で、2人はどうしてこんな夜に?」
これ以上自分のことを聞かれたくないパイソンは逆にリオに振る。
「ん?私たち? 私たちはマルコのところで勉強を教わっていたの。」
「勉強?」
「ええ、単純な読み書きや計算だったり、専門的な経済や政治、戦術戦略… まぁいろいろね。」
「そんなことを教われるだなんてすごいな。」
「そんなことないわよ。コタロさんやアナさんからもいろいろ教わっているけど… 難しすぎてさっぱりなことばかりだわ。」
「へぇ…」
ふと思う。
自分も勉強をすればマルコの言っていたことをちゃんと理解できるようになるのでは? 馬鹿な自分を変えられるのでは?
「あの、さ… その勉強って、俺も参加できるかな?」
「え?」
「あっいや、わかってんだ。俺は勉強したことなんてないし、文字だって知らない。数も両手の指でしか数えられない。でもっ!……いや、さすがにそんな俺が参加したら迷惑だな、忘れて……」
「いいんじゃないすか?」
言っていてやはり不安になる。だがらそれをわかっているのかいないのか、タイガがあっけらかんとした笑顔で否定した。
「……えっ?」
「俺らだって馬鹿っすけどマルコさん怒んないっすよ?」
「おにいと一緒にしないでよ、って言いたいけど… そうね。ミャアちゃんみたいな小さい子も参加してるし大丈夫じゃない?」
「まぁ、ミャアちゃんのが俺より頭良いんすけどね。」
「…おにい……」
俺だって…勉強していいんだ……
「じゃあマルコさんには伝えとくっすよ。」
「ああ、よろしく頼……」
「ん?」
「…いや、自分で頼みに行くよ。」
「ええ、それが良いわね。」
翌日、緊張した面持ちでマルコに頼みに行ったパイソンはあっさりOKを貰ったのだった。
評価、いいね、ありがとうございます。
〇〇が言った。✕✕が言う。みたいな表現やめた方がいいんでしょうか?
でもそこまで口調でキャラ出せてないし、ひたすら会話になりそうだし……
もっと心理、それを受けて何を感じたかを挟めばいいんでしょうか?
でも一人称強めすぎると独善的になりすぎそうな気がするしなぁ……
最近迷走しております
気分転換に短編でも書こうかなぁ……




