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短いですがキリが良いので……

「皆、最終確認だ。」


 マルコは猫人族の戦士たちに鷹の目の地図を開いて見せる。


「まず、俺とミャアが潜入して兵舎を簡易的に無力化し、その後人質になっている子供たちを解放する。」


「簡易的な無力化って… なにするつもりなのよ?」


 極力殺さないという今回の方針を知ってか、リオが不思議そうに聞いてくる。


「うん。だからこれを使う。」


 マルコはマジックバックから小瓶を取り出す。


「それは?」


「ガススライムから取った睡眠ガスだよ。まぁ材料が足りなかったから全員完全に無力化するには厳しいけど十分効果はあるはずだよ。」


 叩いたり揺すったりして起こされれば起きてしまうが、外で騒ぐくらいなら起きないくらいには眠らせられるはずだ。


「その後、俺たちは監視塔へと向かい人質になっている子供たちを解放する。」


 マルコは地図上、奴隷港中心に位置する建物を指差す。

 監視塔は外敵を警戒するための物でなく、内部の奴隷たちを警戒しているため中央に建てられている。そして、いざ奴隷たちがなにか反乱を起こした時はすぐに人質を押さえられるよう、人質もそこに閉じ込められていた。


「人質を解放できたらクウガに念話で伝える。」


「やれやれ、我の役割はそれだけか。」


 子猫サイズに身体を縮めたクウガが、リオの背負う鞄から顔だけぴょこりと出して言う。


「いざって時には戦ってもらうことになるが…わかっているよな?」


「わかっておる。この場で皆殺しにすることくらい容易いが… それでは復讐に猛る者たちが万の大軍と連れだって延々報復に来ることになるからな。」


 まあクウガだけならそこは戦い方次第、例えば逃げ隠れて一方的にゲリラ戦を仕掛ければ優位に戦えるだろう。だが逃げ隠れられない老人や子供もいる以上、村での真っ向からの防衛戦を受けねばならず、そうなればさすがのクウガも擂り潰されてしまう。


「さて、それより皆は工具の使い方は大丈夫か?」


「バッチリっすよ!」


 タイガがニカッと答える。

 工具とは奴隷の枷を手早く破壊するためにコタロに手配してもらっていたものだ。


「しっかし、皆を助けるのはこれで良いっすけど… さすがに逃げきるの難しくないっすか?」


 兵舎で休んでいる者を無力化できたとしても巡回している兵は普通にいるはずだ。


「ああ、だからこれを使って騒ぎを起こしてくれ。」


 マルコは酒瓶ほどの大きさの大瓶をいくつも出す。


「なんすか?これ??」


「油壺的な物だ。気を付けろよ、錬金術でいろいろ強化してあるからな。もしうっかりかかったりしたら火傷じゃ済まんからな。」


「うひゃっ!?」


 瓶の中には油と火のルーンを刻んだ魔石がいれてある。そのため投げて割れれば一気に発火する。


「揮発性を高めて爆発するような殺傷力は持たせていないが、粘性を高めてまとわりついて確実に燃やすように作ってある。これを使って船や物資の仕舞ってある倉庫を燃やしてくれ。そうすれば逃げ出した皆を追ってる余裕はなくなる。」


「でもそういった場所には防火の結界やルーンが刻まれているんじゃない?」


 確かにリオの言う通りである。


「ああ、そういった防火対策をぶち抜けるように、霜降り草から抽出した火耐性を下げる成分をふんだんに混ぜてある。だから本当に気を付けろよ。」


 まとわりついて離れない油が耐性を下げて燃えるので下手にかかれば切り落とすしかなくなる。


 遊び半分の実験だったがこんなことに役立つとは…


「っと、最後にこれも。」


 マルコは再び小瓶を取り出す。


「これは?」


「夜光草から抽出した隠密薬だ。」


 夜光草は自分で栽培しているため、全員に行き渡るのに十分な量があった。


「とはいえダンジョン産の素材で作るほどの効果はないからな。あくまで気配が薄くなる程度。視界に入ったり物音をたてたりすれば十分見つかるリスクがあるからな、注意してくれ。」


 そういってマルコとミャアは隠密薬を飲む。


「それじゃあ行ってくる。…皆、必ず成功させるぞ!」



 マルコとミャアは宵闇に紛れて奴隷港に潜入するのだった。

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