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84 闇と光と鎖

 体に力が入らない。まるで自分の体ではないような感覚。ナルヤは力を得る前のザイの言葉を思い出した。


『四時間もすれば君の体はボロボロだ。まともに歩くことすら叶わないだろうね。それでもその力を手にするのかい?』


 どうやら、彼の言っていたタイムリミットが来てしまったようである。姿は見る事が出来ないが、足音は聞こえる。きっと、ルイが近づいているのだろう。


 聞こえる足音は不規則で、ペースも遅い。さっきの攻撃が相当効いているようだ。


 だが、このままでは斬り殺されるのを待つ事しか出来ない。この状況を打開すべく、精一杯力を込める。


 限界まで力を込める事で、なんとか片腕だけは、微かに動かす事が出来た。ナルヤは近くに落ちているであろう魔剣を探す。


 今の状態で魔剣から力を引き出せるとは思えないが、何もしなければここで殺される。無茶でもやるしかないだろう。


 辺りをまさぐり、ようやく柄らしきものを掴んだ。力が湧き出る感覚…………この感覚は魔剣ではない。


(これは……)


 ()()から引き出された力を使い、ナルヤは無理矢理体を起こした。まともに攻撃が出来るのは一回が限度だろう。この一撃で全てが決まる。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ナルヤはルイへと駆け寄り、剣を突き出した。それに反応してルイも剣を振り上げたが、少し遅い。


「シャイニングブレイク!」


 ナルヤの剣がルイの腹を貫き、そこから光が溢れ出す。

 勝った。そう安堵した束の間、信じられない事を目にした。


「ま……だ……だぁ!」


 腹を貫かれ、瀕死の筈のルイが叫び声を上げたのだ。それと同時に、上がりきったままだった右手が、ナルヤ目掛けて振り下ろされる。


「チェーンロック!」


 出現した魔法陣から出た鎖が、ルイの右手をすんでの所で繋ぎ止めた。

 鎖魔法。ミユキに出会う前のナルヤが、二年かけて使えるように出来た唯一の魔法である。


 ルイは引きちぎらんと右手に力を込める。ナルヤはそれよりも早く倒すべく聖剣を握る手を強める。


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」


 両者の体が光を放ち、叫び声と共にその輝きを増していく。それから数巡輝き続け…………


 スッと光が消えた。一瞬にして、辺りは暗闇へと戻る。


 残されたのは、貫いたナルヤと貫かれたルイ、そして一本の鎖である。


「僕は……世界……を…………」


 剣に刺されたまま、ルイはバタンと倒れ伏した。それから一秒とかからない内に、ナルヤも倒れ込んだ。

カウントダウン

       57minutes

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