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83 本当の夢

「ゆうしゃぁぁぁぁぁぁ!」

「まおぉぉぉぉぉぉぉう!」


 聖剣と魔剣が衝突し、今までにない衝撃が起こる。だが、二人は構わず次々と攻撃を繰り出した。


 実力は全くの互角。広いフィールドを使い縦横無尽な戦闘が繰り広げられる。


「君が今からやろうとしている事がどういう事なのか分かっているのか⁉︎」

「そんな事は分かってる。それが英雄の道から反している事も全て!」


 英雄が多くの人間を守る者なら、ナルヤは今英雄から最も遠い位置にいる。だがそんな事はどうだっていい。大切なのは一つだけだ。


「シャイニングオーバードライブ!」

「ダークネスオーバードライブ!」


 光と闇がぶつかり合う。その衝撃で部屋が崩壊していくが、すぐさま再生された。流石最新鋭の魔道具を使っているだけある。城を破壊して無理矢理防ぐという手段は使えなさそうだ。


 お互い弾き飛ばされ、受け身を取ると同時に魔法を発動する。


「シャイニングエンチャント」

「ダークネスエンチャント」


 移動速度が上がり、再びフィールドを駆け回る。それはもう人間に追える速度ではない。人間には時々光る何かぐらいにしか見えないだろう。


「そんなに大事なのか。世界の全てを捨てられる程に、君の全てを捨てられる程に!」

「ああそうだ! 彼女を死なせるぐらいなら、世界がどうなっても構わない!」


「それをミユキ君が望むと思うか! 心優しい彼女が、他人を犠牲にしてまで生きたいと思うのか!」


 今までにない程迫真の声でそう言うルイ。きっと彼が世界を救う決断をした最大の要因がこれなのだ。


 世界だけでなくミユキの事も考えての決断。本当によく出来た人だ。英雄とは彼の事を言うのだろう。だが!


「ダークネスオーバーブレイク!」

「シャイニングオーバーブレイク!」


 光と闇が溢れ出し、ちょうど中央でぶつかり合った。


「彼女は言った! 出来ることなら旅をしたいと、僕達と旅を続けたいと!」


 いなくなる前日に吐露した彼女の本心。当時はそこまで意識していなかったが、今になるとその意味がよく分かる。


「彼女が犠牲になる理由なんてない! 世界の危機なら、皆で立ち向かえば良いじゃないか!」

「それでも犠牲が出る! どれだけ団結したとしても、何万という犠牲は避けられない」

「だからって死ななくて良い少女を犠牲にしていい理由にはならない!」


 魔法を放ち終え、また剣を交わらせる。


「それで世間が、彼女が許すと思うのか! 残された遺族は彼女を恨む。彼女自身も自分を呪う。それでも君は幸せだと言うのか!」

「世間はミユキを許さないかもしれない、ミユキが自分を許せないかもしれない。でも! 僕がその何倍も肯定して見せる! 生きていて良いんだと言い続ける。それが僕の夢だぁ!」


 ナルヤが競り勝ち、ルイを壁へと吹き飛ばす。


「ダークネスオーバーランス!」

「くっ、シャイニングプロテクション」


 光の壁でナルヤの槍を防ごうとするも、魔法の威力に差がありすぎる。壁は砕け散り、ルイの腹に突き刺さった。


「ぐあぁ!」

「ダークネスオーバードライブ!」


 闇を纏いルイへ突撃する。ルイは対応出来ず、またも直接受けてしまった。その衝撃で、左手に握っていた聖剣を地面に落とす。


 元の実力は互角。ペースを掴んだ方が一方的に有利になるのは見えていた。


「ダークネスオーバーブラスト!」


 闇を纏った一撃で、ルイを反対方向に吹き飛ばす。


「トドメだ」


 二本の剣を振り上げ、闇の魔力を集中させる。


「ダークネスオーバーブレ……」


 魔法を放とうとしたしたその時、突如力が抜け、仰向けに倒れた。

カウントダウン

       59minutes

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