76 森の果て
「ここ……なのか?」
どれだけ時間が経ったのかは分からない。太陽が真上にある事から、十時間以上は経っていそうである。
そんな中、ナルヤは一つの洞窟を見つけた。それも、しっかりと入口が見えないようにカモフラージュされたものだ。
今までも何度か洞窟を見つけはしたが、今回は期待値が違う。ナルヤは大きく息を吸い込み、洞窟に向けて叫んだ。
「メェェェイ! ザァァァド! 僕だ! ナルヤだぁぁぁぁぁ!」
洞窟内を声がこだまする。それから数分、奥からドタドタと音が聞こえ、一人の魔族が姿を現した。
「ナルヤ! 来てくれたんだ!」
「久しぶり。メイは元気にしてたかい?」
「うん。お兄ちゃんとここで遊んでたんだ」
「メイ! 嬉しいのは分かるが、そんなにはしゃぐな。高貴なる魔族の名に汚れがつく」
言って洞窟から出てきたのはザードだ。相変わらず、態度はドライである。
「ナルヤ。ミユキは一緒ではないのか?」
「その事で話がある。君達に教えてもらいたい事があるんだ」
◆◆◆◆◆
ナルヤはザードとメイに、今までの事を話した。
魔族も魔力を扱うので、これを知れば敵になる可能性がある。だが、彼らに聞くしか道はない。はたして乗ってくれるのか。
「僕はミユキを助けたい。お願いだ、共に戦ってくれとまでは言わない。魔王の力のありかを教えてほしい」
「我達は魔族、恩は返す主義だ。ミユキのピンチとあれば、戦わぬ訳にはいくまい」
「メイ、ミユキお姉ちゃんともっと遊びたい」
「二人共……」
「着いてこいナルヤ。魔王の力が宿りし剣──魔剣の元へと案内しよう」
「ありがとう」
カウントダウン
11time




