60 大会前日
『第一試合にパパラッチ町代表のハルサメ選手対マラカス町代表のソウメン選手、第二試合はヘルイス町代表のナルヤ選手対現行勇者のルイ選手、第三試合は……。コメンテーターのミエルさんは優勝はどなただと予想しますか?』
『流石にルイですね。前回前々回と、その圧倒的実力で何の危なげもなく優勝しました。それに前回とほとんどメンツが変わっていませんし、今回も順当に優勝するんじゃないかと思いますね』
『それで言うと今回、一人だけ異例なのがナルヤ選手。噂によればあの光魔法を使うとか』
『そうですね。二番手を付けられるとしたら彼だと思います。この二人の実力は抜きん出ている。一回戦に勝った方が優勝するのは間違いないでしょう』
「だってさ。明日の試合、絶対に勝たないとね」
朝食を片手にミユキは、そうナルヤに語りかけた。当のナルヤは、彼女の言葉に耳を傾ける事なく、考え込んでいた。
「多分ルイに勝つ為のなんかを考えてんだろーな。テレビの奴が言ってた通り、アイツはつえぇからな」
昨日の夜、トーナメント表が発表されてからずっとこの調子である。
この前共に戦った時は、明らかな差があった。あれからかなり実力がついたので、差は縮まっているとは思うものの、勝てる自信はない。
「ナルヤは緊張しやすいタイプだもんね。前は直接だったけど、今回はこういう形で来たんだー」
「まあ、あたしらには見守る事しか出来ねぇな」
「そうだね。でも大丈夫。ナルヤならきっと、緊張なんかに負けないよ」
カウントダウン
3day




