55 別行動の訳
宿へ戻ると、ユノがリビングで待っていたのが見えた。
「おっ二人共戻ってきたか。でっどうだった? 幽霊は出たか?」
「うーん、ちょっとこれは内緒なんだけど……」
「ん?」
ミユキは耳打ちで今日の出来事を話した。最初は驚きを隠せないユノだったが、最終的には理解したようである。
「なるほどな。あたしは魔族ってだけで意味嫌い過ぎたのかもしれねぇな」
「そういう事だよ。あーメイちゃん可愛かったなー」
ミユキが思い出に浸っていると、ユノがこっそりとナルヤへと近づいてきた。そしてミユキに聞こえない様な声で耳打ちする。
「で、恋の進展はどうなんだ?」
「へっ?」
「テメェがミユキにほの字なのは分かってんだ。でどうだったよ。わざわざミユキが苦手なら心霊スポットまで行ったんだ。良い感じにはなったのか?」
「まさかユノ。今日一人で買い物してた理由って……」
「二人をくっ付ける為に決まってんだろ」
「さも当然かの様に言わないでくれ!」
「何々? 何の話をしてるの?」
「あーミユキはダメ。聞かないでくれ、本当に!」
「えー、そんな事言われると益々気になるなー」
「お願いだからやめてくれ!」
その後、聞かないでおく代わりに暫く三人で寝る事になった。何故そこまで誰かと寝る事にこだわるかは分からないが、この話が掘り返されない為にも聞かないでおく事にしたナルヤだった。
カウントダウン
16day