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54 守るべきもの

 現れたのは、ガタイのいい男と、ひょろりとした長身の男、デブで低身長の三人組である。多少傷がある事から、メイ達に傷をつけた犯人なのだろう。


「そいつは俺達の獲物だせ。横取りはいけねぇな」

「いけねぇな」

「いけねぇな」


「トドメを刺しに来たか……いいだろう。我が相手に……うっ」


 男の魔族が立ち上がろうとするも、傷が癒えていないため満足にいかない。

 ナルヤは剣を抜くと、男達とメイ達の間に入った。


「何のマネだ?」

「マネだ?」

「マネだ?」


「まずは確認を取りたい。先に襲いかかったのは君達か?」

「まあそうだな。たまたまクエスト中にコイツらを見つけてな。ボロボロな上に俺達に気付いてねぇもんだから、奇襲してやったんだ。それが面白いぐらいにはまってよ。いやー魔族なんて今時希少だからなー、いくらで売れるか想像もつかねぇぜ」


 全く悪びれる様子もなく男は語った。それを聞き、ナルヤも覚悟を決める。この男達に二人を渡す訳にはいかない。


「すまないがここから先へは行かせない。引き返してくれないか?」

「あんだと? テメェ横取りする気か?」

「そんな所だよ。断るなら力づくでも帰ってもらう」


 男達は武器を構える。それを見て、男の魔族が動こうとするも、ミユキが止めた。


「三対一では不利だ。我も……」

「大丈夫だよ。ナルヤはすっごく強いから」


 長身もデブの男が迫ってきた。ちょうど後ろの男が見えないように攻めてきている。つまり、動いていないガタイの良い男は強力な魔法を準備している可能性がある。ならば……


「シャイニングエンチャント」


 移動速度を上昇させるも、発動の合間に二人がすぐそこまで近づいていた。


「これで」

「終わりだ!」


 勢いよく武器を振り下ろす。が、ナルヤはギリギリでそれを躱すと、後ろの男へと向かった。


「チッ、ライトニングブラスター」


 雷が放たれる。が、隙を狙ったならともかく、避ける準備をしていたナルヤに当たる筈もない。ナルヤは男の後ろに回り込み、剣に光を溜める。


「シャイニングバースト」


 剣を地面に叩きつけ、そこで生まれた亀裂に沿って光が溢れ出す。攻撃を放った直後の男達は避ける事が出来ず、その場で倒れ伏した。


「ふぅ……今の内にここから逃げよう」

「私はメイちゃんを運ぶよ。ナルヤはこの子を」


◆◆◆◆◆


「ここまで来れば追手は来なさそうだね。大丈夫、二人共?」

「うん。ありがとうお姉ちゃん、お兄ちゃん」

「助かった。礼を言う」


「良かった。そうだ、君の名前聞いてなかったよね。私に教えてくれないかな?」

「……ザードだ」

「ザードか、良い名前だね」


 それからは会話を交わしながら、バッグに入っていた救急セットで怪我を治していった。


 他愛もない会話だった。好きな食べ物や、面白い遊びの話。とても人間と魔族がする様なものとは思えない程。


「そうか、お母さん達は死んじゃったんだ……」

「ああ、我を人間達から逃す為に。だからこそ絶対に復讐してやると思っていた。だが……」


 それからザードは初めてふっと笑うと、言葉を続けた。


「お前達のような人間もいるんだな」

「僕もミユキがいなければ君達を斬っていただろう。そんな僕の考えを変えてくれたのは彼女だ」


「えへへ、そう言われると照れるね」


 ミユキが顔をかく。

 それから包帯を巻き終わると、二人は動けるぐらいには回復した。


「我等はこれから第一アジトへと向かう。もし近くに来たなら寄って行ってくれ」

「お姉ちゃん、お兄ちゃん、また来てね」

「うん。今度は私達と遊ぼうね」

「君達の無事を祈ってるよ」


 ザードとメイは第一アジトの地図をナルヤに渡し、森の奥へと消えて行った。



カウントダウン

       16day

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