50 行き先
「という事で、作戦会議を始めよーう」
祝勝会後、部屋に二人を集めたミユキはそう切り出した。
「作戦会議?」
「そう、作戦会議!」
ミユキの言葉に疑問符を浮かべたナルヤは聞き返しす。ユノからの説明が入る。
「ここから王都までは、幾つかの道があるからな。どの道から行こうかって話だろ」
「さっすがユノちゃん。その通りだよ」
やたらハイテンションで話を続けるミユキ。さっきもだが、彼女が興味を持った事をする時のテンションはやたらと高い。
「ナルヤは何かない?」
「僕か……」
前までなら、万が一を考え、最速で着く道を提案していただろう。だが今は……
「僕は二人と色々な所へ行きたい……かな」
「確かに! どうせなら楽しい方が良いよね!」
「ならいいか?」
その話を聞いてか、ユノが手を挙げた。
「はい。ユノちゃん」
「出来ればハール村へ寄っていけねぇか? 予選が終わったら、家族に結果を伝えるって言ってあんだ。じゃねぇと心配するからよ」
予選が終わっても娘が帰って来なければ、心配されるのも無理はない。ナルヤには報告する家族はいないが、ユノにとっては大事な事である。
「それに、この道が一番通る町が多い」
「なら決まりだね。それじゃあ、明日の朝出発だし、もう寝よっか」
◆◆◆◆◆
その夜。
(何言ってんだ僕はぁぁぁぁぁぁぁ!)
さっきの言葉を思い出し、ベッドの上をのたうち回っていた。
今日改めて彼女達との日々の大事さを実感した。これが終わって欲しくない、もっと三人で旅をしたい。その想いは本当だが、あんなにストレートに言わなくても良いだろう。
そしてナルヤを悩ませている事はもう一つある。
『そんな君に英雄の資格がないなんて、私が許さない。だから責任を取る為じゃなくて、ナルヤの為に戦ってきて。私達の旅の目標は、ナルヤが英雄になる事なんだしね』
あれ以来、ミユキの顔を見る度にこの時の言葉を思いだしてしまい、妙な気恥ずかしさが生まれる。
「ほんと……どうしたんだろ、僕」
ナルヤは腕を顔の上に置き、悶々としたまま夜を明かした。
カウントダウン
17day
 




