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4 助けた少女は

 そこで思い出す。助けを()うていた少女の存在を。


「怪我はないですか?」


 そう言いながら後ろへ振り返る。


「うん、大丈夫だよ。でも君がいなかったら危なかったかも。ありがと」


 と返事をする少女。だが、ナルヤはその場で動けずにいた。それもその筈。

 今までは助けるのに夢中で意識していなかったが、ナルヤは今女子と会話をしているのだ。


 彼は生まれてこの方友達が出来たことがなく、当然、同年代程の女子と話す機会など毛頭なかった。冒険者ギルドには女性冒険者なんている筈もなく、強いて会話したことがあるのは受付のお姉さんぐらいである。


 ただでさえ彼がテンパるには十分なのだが、極めつけはその容姿。

 艶のある茶色いロングヘアー、傷一つない滑らかな肌、サファイアのように蒼く澄んだ瞳、黙っている時は真面目そうな印象を受けるものの、話している様子は年相応……というよりほんの少し下ぐらいの表情をみせる。


 簡潔に言えば綺麗だ。因みに彼女の年齢をナルヤは知らない。同年代や年相応というのは彼の勝手な憶測である。


 今にも心臓が爆発しそうだが、このまま何も返さない訳にはいかない。ナルヤは脳をフル回転させて適当な返事を絞り出す。


「ど、どういたしまして?」

「何故に疑問系?」

「さあ?」


◆◆◆◆◆


「改めてありがと。えーと、君の名前を聞いてもいい?」

「あっ、ナルヤと言います」

「ナルヤかー。良い名前だね」


 この名前は将来立派な男になる様にと両親につけて貰った名前である。それを褒められて嬉しいような恥ずかしいような、よく分からない感情を覚えたナルヤはぽりぽりと頬をかく。


「ありがとうございます」

「それでなんだけど、助けられたついでに一つお願いをしてもいいかな?」


 お願い? なんだろうか。帰り道が怖くなったので家まで送って欲しい等、考えられる可能性は多いが。


「私と、旅に出てくれない?」

「…………えっ? えええええええええ!」

 



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       29day

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