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45 ナルヤvsザイ

 セントラルステージ上、佇む二人の姿に、観客席中から視線が集中する。辺りが静寂に包まれる中、ザイが口を開いた。


「いやーナルヤ君じゃないか。てっきり来ないかと思ってたよ」

「僕は英雄になるんです。こんな所で立ち止まっていられませんよ」


 煽るように言葉を繋げるザイ。以前までの心境なら取り乱していたかもしれないが、今は心に余裕がある。冷静に返した。


「英雄かー。一体それにどれだけの価値なんてあるのか……」

「何が言いたいんです?」


 ザイの言葉に、ナルヤは眉を(しか)めた。


「思い出してごらんよ、君がマジックロスと言われていた時の事を。誰が君に手を差し伸べた? 誰が君を助けた? 冒険者達には嘲笑され、ギルド長には追放された。君に仲間が出来たのも、そのスキルを手に入れてからだ。そんなスキルよがりの世の中に、守る価値なんてあるのかい?」


「…………」

「さあ、どうなんだ。答えてみるがいい」


 嫉妬と共感の混じった目でナルヤに問いかけるザイ。その問いの答えを見つける為にナルヤは目を閉じる。


 脳裏には、今まで出会った人達が思い起こされた。ギルド長、マルクス、ヤス、ユノ、そして……


 自分なりの答えを出したナルヤは、目を閉じたまま語りかける。


「確かに僕はスキルがないせいで苦しい人生を送ってきた。そんな人生がプラスに向き出したのもスキルを得てからです」


「だろう。やはり……」

「でも! ミユキは、力なんて関係ないと言ってくれた。僕が僕であるから旅の仲間にしたんだと、そう言ってくれたんです。この世界の全ての人間が差別する訳じゃない。そんな人達を守りたい。それが僕の夢だ!」


 そう言い切ったナルヤを見て、ザイは初めて顔を顰めた。似た境遇だったが為に、反論されるとは思っていなかったのだろう。


「そうか……それが君の答えか」


 そう呟いたザイは、すぅーと息を吸い込み、叫び声を上げる。


「ならばぁ! わたしがその夢を! 木っ端微塵にぶち壊してやろう!」


 その宣言と共に、地面から件の魔道具が現れる。そして審判も舞台に上がってきた。


「決勝戦。よーい……始め!」



カウントダウン

       17day

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