41 踏みにじられし覚悟
「今すぐ試合を中止してください! あの試合は明らかにおかしい」
ナルヤは仮支部に着くなり、運営の人間に抗議を入れた。それに、後ろから追いかけてきたミユキが問いかける。
「ど……どうしたのナルヤ?」
「戦っている選手にはその人を守る魔道具が渡されるって話はしたよね」
「うん。膜みたいなのが出てきて、戦闘によってダメージを受けないように……ってあれ?」
ミユキも違和感に気付いたようだ。
「そう、もし魔道具が正常に機能しているなら、ユノが痛みを感じる筈がないんだ。それに、あれだけ攻撃を受けているのに、まだ膜が壊れていないのもおかしい」
魔道具の故障か、あの機械にその機能があるのかは分からないが、少なくとも彼女に魔道具の機能が働いていないのは確かだ。そんなアンフェアな戦いを認めていい筈がない。
「こんな試合続けていい筈がありません! 今すぐ試合を中止するべきです!」
「私からもお願いです!」
再び抗議するナルヤ。それを受けた職員は、「少々お待ちください。上に確認いたします」と言いテントの中へと入っていった。
それから少しして、職員が帰って来た。だが、顔色が優れない。その理由は、すぐに分かった。
「上の方に掛け合ってみた所、今から話し合い判断すると」
「それじゃ遅いんです!」
早く中断なければ、ユノの体に限界が来てしまう。それに、これは運営としても見過ごせない問題の筈である。話し合っている場合ではない。
「ですがそう伝えるようにと言われましたので……」
それからも運営から判断が下される事はないまま、試合は終盤に差し掛かっていった。
カウントダウン
17day




