表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/89

34 トーナメント

「何だアイツら。人の仲間に手ぇ出しやがってよ!」


 去っていく彼らを見て、ユノが不満げに声を上げた。

 ナルヤにとっては色々と込み入った事情があるが、彼女から見ればただのチンピラである。当然の反応だろう。


 そんな中、大人しくしていたミユキがナルヤへと駆け寄った。


「ねえ、さっきの人ってナルヤの……」

「ああ、冒険者をしていた時に、一緒に仕事をしていた人達だ」


 その言葉に反応したユノが言葉を漏らした。


「つまりアイツら冒険者か。通りでガラが悪い訳だ。冒険者なんて時代遅れな職業についてるぐらいだし、脳みそにパンでも詰まってんだろ」


「そうか……そうだよね。時代遅れ……時代遅れか……」

「ユノストップ! ナルヤのメンタルが! ただでさえ大会前で脆くなってるナルヤのメンタルが!」


 ナルヤもつい最近まで冒険者だった身だ。今の一言は、ナルヤにとっても痛い言葉だった。それに気付いたユノは「わりぃわりぃ」と謝罪し、言葉を繋げた。


「まあアイツらは大会でぶっ飛ばすとしてだ。大会開始までどうする?」

「私は売店でご飯食べたいかな。ナルヤは?」


「そうか……僕の脳みそはパン……パ、ん? あああ、僕も腹ごしらえしたいかも」

「よーし、なら売店で時間潰すか。ただ、食べすぎて腹を壊さねぇようにな」


◆◆◆◆◆


「エントリー受付終了。トーナメント表が掲示されました」


 アナウンスが入り、朝食を取っていた手を止める。


「トーナメント表が出たらしいよ。先に見に行く? ご飯中だけど」

「いや、今行っても混雑で見られないと思う。いつ見ても大丈夫なんだから、少し間を空けても良いんじゃないかな」


「本音は?」

「緊張しすぎて見られる気がしないから、少し心の準備をさせて欲しい」

「ふふっ、ナルヤは素直だなー」

「ほっといてくれ」


 ナルヤはやや赤面しながら、手に持っていたバーガーを口に入れた。

 ミユキは相変わらず微笑ましそうに見ている。癪である。


「さてと、全員食べ終えたみたいだし、どうなってるか確認するか」


 ユノの一言で立ち上がり、仮支部へと向かった。

 仮支部では、設置された巨大なスクリーンにデカデカとトーナメント表が表示されていた。二人の名前を探す。


「あっユノだ!」

「どこだ」

「左から二番目だね。って事は、第一試合じゃない?」

「うわマジか、しかも相手の名前」


 ユノの名前の横には、ヤスと書かれてあった。そう、さっきミユキに絡んでいた冒険者である。


「まさかこんな早々にチャンスがやって来るとはな。燃えてきたぜ!」

「僕もあった!」

「どこどこ?」


「ほら、右から五番目かな?」

「なら結構後だね。対戦相手は?」


 ナルヤは自分の名前の右に目を向ける。一番右がシード枠となるなで、ナルヤの相手は右から四番目の人間である。


「……マルクス」


 対戦相手となる右から四番目には、マルクスという文字があった。


「マルクスって確か……」

「ああ、さっきヤスさんを止めた人だ。あのギルドの冒険者達のリーダー的存在だよ」


 そしてマルクスは、ナルヤを蔑み出した第一人者でもある。リーダー的存在である彼が始めたのがきっかけで、ギルド全体でそういう雰囲気が流れ出したのは間違いない。


「なんか一回戦目から凄いマッチングだね」

「いつかは当たるんだ。全力でぶつかるだけさ」

「その通り。誰が来ようと捻り潰してやるぜ!」



カウントダウン

       17day

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ