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29/89

28 隠されし力

「……う……うん?」


 重い瞼を開き、なんとか目を覚ます。辺りを見回すが、さっきまでいた平原とは違うようである。どこかの部屋の中だ。


「ナルヤ⁉︎」

「おーう、やっと目覚めたか」


 そう声をかけたのはユノとミユキだ。ナルヤは状況を把握すべく、二人に問いかける。


「ここは?」

「近くにあった医療所だ。医者の話によれば、急激に限界値以上の魔力を使うと起こる魔力切れらしい。命に別状はねぇらしいが、念のため回復魔法を掛けてくれたぜ」


「魔力切れ……」


 思い当たる節ならある。あの時の聖剣との共鳴。あれが、限界値以上の力を引き出したのだろう。


「ほんと大変だったんだからな。戦ってたらいきなりぶっ倒れるし、町まで運んだは良いものの医療所の場所は分からねぇし」

「あはは……ご迷惑をおかけしました」

「まっ、無事で良かったぜ。本当に」


 ユノの弟は今も病で倒れている。そんな中身内が倒れれば、それがフラッシュバックするに違いない。


「ありがとうユノ」

「……おう」

「後ミユキも」

「ブイ!」


 言ってピースサインを作る。彼女は相変わらずである。


「じゃあ、とりあえず今日は帰って休んじゃおー!」

「その件なんだけど、一つお願いしてもいいかな?」


 逸るミユキを静止し、ナルヤは話を持ちかける。


「今日と明日だけ、宿でのベッドを分けて欲しい。万全の状態で大会に挑む為に」

「あたしも頼んでいいか? 大会で勝つ為に、最善を尽くしたい」


 ナルヤは真剣な眼差しで語りかける。それにユノも同調した。大会を勝ち抜く上で、寝不足に陥る訳にはいかない。本来なら異議申し立て出来る立場ではないが、ここは言わない訳にはいかないのだ。


 当のミユキはというと、「ふっふっふっ」と不思議な笑らいを浮かべ、得意げに胸を張っている。


「そう言うと思って、今日から三日間、別々の部屋を取ったよ!」

「ほんとに⁉︎」

「マジか!」

 

 思わぬ朗報に、声を上げる二人。ベッドだけでなく、部屋も分けてくれていたとは。ただ旅をするだけなら部屋が同じでも良いのだが、大会前のデリケートな期間は一人部屋の方が色々と助かのだ。


「ありがとうミユキ」

「サンキュー」

「へへっ、もっと褒めて」


 そんなこんなしながら、一日目を終えた。久しぶりの一人部屋は、安心はするものの、少し寂しく感じた。あの騒がしい雰囲気に慣れすぎたようである。



カウントダウン

       19day

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