表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/89

27 到着!ヘルイスの町

「とーうちゃーく!」


 数日の馬車旅を終え、とうとうヘルイスの町に到着した。道中で風龍を討伐したり、勇者と会ったりと、既に予選以上に大きなイベントをした気がするが、目的はこれである。


「よーし、馬車の休憩時間にちまちま鍛えるのも今日で終わりだぁ! ナルヤ、今日からはバシバシ特訓するぞ!」


「それは勿論なんだけど、大会は明後日だ。明日は体を休めないといけないから、ちゃんとした特訓を出来るのは今日だけだね」


 その言葉を聞いたユノは露骨に肩を落とす。一応弟の医療費を稼ぐのが目的なのだが、戦闘狂の一面もあるようだ。


「なら今日中に沢山鍛えないとね!」

「ああ、大会にはどんな強敵がいるか分からない。備えられる内に備えておこう」

「よーし! やってやるぜ!」


 「おーう!」と三人で腕を上げる。ミユキと出会って一週間程、ユノに至ってはまだほとんど経っていないが、なんだか強い絆で結ばれている気がした。


◆◆◆◆◆


 町から近くの平原に移動したナルヤとユノは、明後日の大会に備えるべく、凌ぎを削っていた。ミユキは買い物中である。


「シャイニングスラッシュ」

「炎微剣」

「シャイニングエンチャント」

「それはもう対策済みだぁ!炎円剣!」


 ナルヤが付与魔法を発動した途端、炎の円に囲われた。一応上が空いてはいるが、飛んで逃げようものなら、彼女の魔法をもろに食らうことになる。


 この前の戦いでは、彼女のクールタイムを利用して付与魔法を放った。が、今回はそれを読み、あらかじめ反動の少ない技を使用していたのだろう。ここでナルヤを閉じ込める為に。


「だが甘い! シャイニングプロテクション!」


 ナルヤから結界の様なものが広がり、炎を掻き消す。本来は防御用の魔法なのだが、強引に相手の包囲を崩すのにも使える。


「いーや、それを待ってたぜ」


 いつの間に空中へ移動していた彼女はそう言うと、得意げな笑みを見せた。


 炎の円を囮に、隙を作ろうとしていた所までは分かっている。だからこそ、ナルヤは防御魔法でもあるシャイニングプロテクションを使用したのだ。


 ユノが魔法を放つ体勢に入る。あの構えは、彼女の得意技である空炎剣。シャイニングプロテクションで十分対処出来る魔法だ。


「いっくぜぇ! 空炎剣一点集中バージョン!」

「一点集中バージョン⁉︎」


 彼女から放たれた炎の斬撃は、空炎剣にしてはあまりに範囲が狭い。が、そこにはいつもの何倍もの炎が凝縮されていた。


 その斬撃が結界に当たると、ギュイーンと鋭い音を立て火花を散らした。徐々に結界にヒビが入り始める。


 このままでは破られるのも時間の問題だ。だが、今から回避しようとしても間に合わない。


「貰った!」


 ユノが勝利を確信しガッツポーズを取る。


「まだだぁ!」


 それに反抗するように叫ぶナルヤ。現状勝ち目はない。だが、今まで諦めの悪さだけを頼りにやってきたのだ。負けてなければ、チャンスはある!


 再び剣と共鳴するのを感じる。言葉を発していた訳ではないが、なんとなく感じる。絶対に勝てと言っているのを。


「はぁぁぁぁぁ!」


 結界が光を放ち、炎を掻き消した。地上には着地したばかりのユノの姿がある。


「決める! シャイニングブレ……」

「くっ」


 バタッ


 今から魔法を放とうという所で、そのままナルヤは地に伏した。


「……えっ? ちょっナルヤ⁉︎」



カウントダウン

       19day

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ