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25/89

24 2人目の仲間

 無事戻れたナルヤは、門を開けてもらい町へと入った。町の中ではそこまで戦闘をしていないかった事もあり、地下シェルター付近以外は大した被害は無かったようである。


 しかし、門番の話によれば、極少数であるが犠牲者が出ていたらしい。風龍に吹き飛ばされた際に打ち所が悪かった人がいたのだ。


「気負わなくていい。風龍から襲撃を受けて、被害をこれだけに抑えたんだ。その功績は寧ろ誇るべきものだよ」


「それは分かっています。でも……」


 かつて村が襲われた時に比べれば、遥かに良い戦果だろう。

 だが、もし自分がもう少し強ければ、そう考えると、どうしても気にしてしまう。


「良いんじゃないかな」


 さっきから少し黙り気味だったミユキが小さく声を上げた。彼女は前を見つめながら続ける。


「ナルヤの夢はみんなを守れる英雄なんだから、より多くの人を守ろうと思うのは良い事なんだと思うよ。ただ、守れなかったものだけじゃなく、守れたものも見て。じゃないと、自分を追い詰めちゃうから」


 目線の先には、変わらず生活する人々の姿があった。

 これが、ナルヤはこの日常を守ったもの。そう思うと、少し気持ちが楽になった気がした。


「分かった?」


 ナルヤを見つめてにっこりと問いかけるミユキ。


「ああ、ありがとう」

「分かればよろしい」


 フフッと笑うと、ミユキは前に向き直った。その光景を、ルイは微笑ましそうに見ていた。

 

「ナルヤー!ミユキー!」


 その声を聞き振り返る。声の主はユノだった。


「ユノちゃーん!」


 ユノに駆け寄り、ダイブを決めるミユキ。それを彼女は、両手で受け止めた。

 そんな様子を見て、ルイはナルヤへと視線を送った。


「それじゃあ俺はここで失礼するよ。次は本戦で会おう」

「はい。ありがとうございました」


 ナルヤがぺこりと頭を下げると、ルイは颯爽とその場から姿を消した。


「僕も、いつかあの人みたいに……」


 なってみせる。そう決意し、拳を握った。と、二人がナルヤの方へとやってきた。


「ナールヤ!」


 なんだか嬉しそうに言葉をかけるミユキ。なんとなく察しがついたが、続く言葉を聞いてみる。


「なんと、ユノちゃんが一緒に旅をしてくれる事になりました!」

「あたしも目的は同じだからな。どうせだから一緒にって事になって」


 ユノもまた笑顔で話す。さりげなくミユキがちゃん付けで呼び始めていたりと、昨日帰った後にかなり交流を深めていたようだ。


「これからよろしくお願いします。ユノさん」

「悪いが敬語は無しだ。仲間なんだから、タメと呼び捨てで頼むぜ」


「では……よろしく、ユノ」

「おう!」


 こうして、新たな旅の仲間が増えた。



カウントダウン

       24day

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