24 2人目の仲間
無事戻れたナルヤは、門を開けてもらい町へと入った。町の中ではそこまで戦闘をしていないかった事もあり、地下シェルター付近以外は大した被害は無かったようである。
しかし、門番の話によれば、極少数であるが犠牲者が出ていたらしい。風龍に吹き飛ばされた際に打ち所が悪かった人がいたのだ。
「気負わなくていい。風龍から襲撃を受けて、被害をこれだけに抑えたんだ。その功績は寧ろ誇るべきものだよ」
「それは分かっています。でも……」
かつて村が襲われた時に比べれば、遥かに良い戦果だろう。
だが、もし自分がもう少し強ければ、そう考えると、どうしても気にしてしまう。
「良いんじゃないかな」
さっきから少し黙り気味だったミユキが小さく声を上げた。彼女は前を見つめながら続ける。
「ナルヤの夢はみんなを守れる英雄なんだから、より多くの人を守ろうと思うのは良い事なんだと思うよ。ただ、守れなかったものだけじゃなく、守れたものも見て。じゃないと、自分を追い詰めちゃうから」
目線の先には、変わらず生活する人々の姿があった。
これが、ナルヤはこの日常を守ったもの。そう思うと、少し気持ちが楽になった気がした。
「分かった?」
ナルヤを見つめてにっこりと問いかけるミユキ。
「ああ、ありがとう」
「分かればよろしい」
フフッと笑うと、ミユキは前に向き直った。その光景を、ルイは微笑ましそうに見ていた。
「ナルヤー!ミユキー!」
その声を聞き振り返る。声の主はユノだった。
「ユノちゃーん!」
ユノに駆け寄り、ダイブを決めるミユキ。それを彼女は、両手で受け止めた。
そんな様子を見て、ルイはナルヤへと視線を送った。
「それじゃあ俺はここで失礼するよ。次は本戦で会おう」
「はい。ありがとうございました」
ナルヤがぺこりと頭を下げると、ルイは颯爽とその場から姿を消した。
「僕も、いつかあの人みたいに……」
なってみせる。そう決意し、拳を握った。と、二人がナルヤの方へとやってきた。
「ナールヤ!」
なんだか嬉しそうに言葉をかけるミユキ。なんとなく察しがついたが、続く言葉を聞いてみる。
「なんと、ユノちゃんが一緒に旅をしてくれる事になりました!」
「あたしも目的は同じだからな。どうせだから一緒にって事になって」
ユノもまた笑顔で話す。さりげなくミユキがちゃん付けで呼び始めていたりと、昨日帰った後にかなり交流を深めていたようだ。
「これからよろしくお願いします。ユノさん」
「悪いが敬語は無しだ。仲間なんだから、タメと呼び捨てで頼むぜ」
「では……よろしく、ユノ」
「おう!」
こうして、新たな旅の仲間が増えた。
カウントダウン
24day




