23 力を得るということ
「良ければ、君達がどんな冒険をしていたか聞かせてくれないか?」
町に戻るまでの帰り道、突如そんな事を言われたナルヤは、今までの経緯を話した。
「なるほど。光魔法使いが二人か……。それに、君のスキルの方がランクが高いみたいだね」
「そう……なんですかね? さっき戦ってた感じでは、全然そんな風に感じなかったんですけど」
さっきの風龍との戦い。交互に魔法を放ち合ったが、威力は歴然だった。その光景を見た限りは、とても自分の方が上だとは思えない。
「まあそれは年季が違うから。少なくとも君は、俺が同い年だった時より強かった」
「ありがとう……ございます」
憧れの人物に褒められるとなんだか燻るものがあり、ナルヤは頬をかいた。
「ただ、大きな力を持つ者にはそれだけ責任が付き纏う。君の行動で、とんでもない事態を引き起こす事だってあるかもしれない。だから力の振るい方だけはしっかり考えてくれ。勇者を目指すのなら特にね」
実体験なのかそうでないのか、とにかくそのルイの言葉には重みが感じられた。力を持つ者の責任……自分はしっかりと果たせているのだろうか。
「そういえばそれで思い出したんだけど、ナルヤはどうしてさっき魔法が使えなかったの?」
そう聞いたのはミユキだ。だが、それには心当たりがあった。ナルヤは答える。
「多分だけど、僕のスキルはこの剣に触れていないと発現しないんだ。だから今までスキルが無かったし、あのタイミングで魔法が使えるようになったんだと思う」
そんな話は聞いた事がないが、状況から考えて間違いないだろう。そうなると疑問になってくるのが、この剣は何物なのかという事だが……
「それは聖剣さ」
答えたのはルイだった。
「聖剣⁉︎ でも聖剣って勇者に貸し与えられる特別な代物なんじゃ……」
「ああ。それが俺の持つ一本目、君が持っているのはそれとは別の二本目だね」
「なんでそんな物をミユキが……」
彼女の秘密には深入りしないと決めたばかりだが、思わず口に出てしまう。
「薄々勘づいているかもしれないけど、彼女は少し特殊なんだ。気になるかもしれないけど、そっとしてあげてくれないかな?」
「分かりました。これ以上聞くのは止めておきます」
「助かるよ」
今度こそ口に出さないようにしなければ。そう心に決め、帰路を辿った。
カウントダウン
24day




