22 2人の光魔法
ルイの掛け声と共に、攻撃を開始するナルヤ。生半可な攻撃では風の膜に阻まれてしまうため、左右に分かれ、翻弄しつつ、魔法を繰り出していく。
「シャイニングスラッシュ」
「シャイニングムーンライト」
「シャイニングバースト」
「シャイニングスラッシュ」
間髪入れずに、交互に魔法を繰り出すナルヤとルイ。風龍は絶え間ない攻撃になす術がない。
「「シャイニングエンチャント」」
隙を見て、移動速度を上げる二人。もはや風龍お得意のスピードですら、然程脅威にはならなくなった。
「ぎぎゃぁぁぁぉぅ!」
風龍の周りに五つの竜巻が発生する。が、その程度ではこの状況を覆すには至らない。
すぐさま回避した二人はミユキの元へと戻る。
「竜巻が壁代わりになっているようですね」
「ならその壁ごと突き破ろう。出来るだろ?」
「行けます!」
二人の剣に光が集まる。
「「シャイニングブレイク!」」
二つの光が合わさり、一つの巨大な光線となって風龍へと向かう。
その威力の前に竜巻の壁など全く意味を持たず、風龍の土手っ腹に大きな風穴を開けた。
「ぎ……ぎゃ……ぉ…………」
断末魔が小さくこだまし、その場で倒れ伏した。さっきまで猛威を奮っていたとは思えないあっさりとした最後だった。
「ありがとう。ミユキを守ってくれて」
「えっはい。……え⁉︎ ルイさんはミユキと知り合いなんですか?」
「まあそんなとこかな」
笑ってミユキの元へと向かったルイ。しかしミユキと知り合いだったとは。ミユキの謎が解明されたような、はたまた謎が増えたような、なんとも言えない気持ちである。
「まあ、考えても仕方ないか」
知らない一面があるのは当たり前。その全てを知る必要もない。
考えるのを止め、ミユキ達の元へと向かう。
「ミユキ、ルイさんと知り合いだったんなら教えてくれてもよかったじゃないか」
「あはは、ごめんねナルヤ」
「まあいいよ。それよりどうする? 今日はもう馬車が出せないと思うけど」
とっくに馬車の出る時間は過ぎている。恐らく、今日は出ないと踏んだ方がいいだろう。
「まあいいんじゃないかな? 予選まではまだ時間があるし。あとナルヤ……」
「ん?」
「ありがと」
そう言ったミユキの顔は、少し紅潮しているように見えた。
カウントダウン
24day