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16 サイレン

 かつての惨劇をナルヤは忘れた事はない。村は炎に包まれ、多くの人が死んだ。


 炎龍による襲撃。ナルヤが英雄を目指すきっかけとなった事件である。あの時勇者ルイが助けに来なければ、間違いなく村は滅んでいた。それ程の災害だった。


 あの時のサイレンの音は今でも覚えている。そう──


◆◆◆◆◆


 ウォゥー!カンカンカン


 けたたましいサイレン音と共にナルヤは目を覚ました。

 聞き覚えのあるサイレン音。そう、十二年前に聞いたあの音である。


「ナルヤ、これって……」

「今すぐ準備しよう。嫌な予感がする」


 すぐ様準備を済ませ、宿を出るナルヤ。そこでアナウンスが入った。


『長らく行方を眩ませていた風龍が町に接近しています。非戦闘員の方は職員の指示に従い避難して下さい』

「風龍⁉︎」


 風龍は十二年前、ナルヤの村を襲った炎龍と同じ四大龍の一人である。他に水龍、土龍もいたが、既に討伐されている。


 風龍だけは暫く行方を眩ませており、倒される事なく現代まで生き残っていた。だがこんなタイミングで現れるとは。


「ミユキ、君は避難しておいてくれ」

「ナルヤは?」

「僕は衛兵の人達と町を守る。もう誰も、あんな思いをさせない!」


 それに反抗しようとしたミユキだが、ナルヤの瞳を見てそれを止めた。並々ならない思いを感じ取ったからだ。


「……分かった。絶対に帰ってきてね」

「ああ!」


 ミユキと別れ、騎士団の本部へと向かう。場所は分からないが、中心の方に行けばあるだろう。


◆◆◆◆◆


 本部には既に大勢の人が集まっていた。騎士団の人間だけではない。恐らくグランドマジックに出る為にここに来ていたであろう人物も多く見られた。


「おお、ナルヤじゃねぇか!」

「ユノさん! 君も風龍を?」

「まあ、この町を放っておけないからな」


 それから暫くした後、組織の人間らしき人物が壇上に現れた。


「ここに集まった騎士団の諸君、そして協力して下さる方々、本当に感謝する」


 そう言って頭を下げる。


「風龍はもう間もなくこの町に到着する。専門家

の話によれば、隠れ住んでいた場所に餌が無くなり、ここまで来たのではないかという事だ」


 もしかすれば町をスルーしてどこか遠くに行こうとしているのかもしれない。そんな事も考えていたが、現実はそんなに甘くない様だ。


 炎龍の時もそうだった。今、この町もあの時と同じ様になろうとしている。

 ナルヤは拳を強く握りしめる。絶対に守り抜く、その決意を込めて。



カウントダウン

       24day

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