転移いたしまして
んっ、、ここはどこだ?
俺は目を覚ますと真っ白な中にいた。
一体、ここはどこなのだろうと当たりを見回した。ただ、まったく見に覚えがない。
すると目の前に光の柱が浮かび上がる。
「えっ、何?」
俺は突然浮かび上がった光の柱に俺はびっくりしながら凝視した。
そして、その瞬間その光の柱の上から金髪のロングヘアーでミニスカートの美少女がゆっくり降りてくる。
俺は瞬間に目を奪われる!
ただ、もっと目を奪われるものがあった!
それは、その美少女のスカートから覗くパンティだった。
下から覗く形だったので丸見えなのだ。
という訳で俺はその純白の白にさらに目を奪われる。
そして凝視する。その純白の白を。
ただ言っておくがこれは俺の意思ではない、
これは俺の男としての避けては通れない性だ!
ただ光の柱から降りてる途中で、その美少女もパンツを見られてるのに気づいたのだろう。
慌てて、すぐにスカートを抑える。
そして顔を赤らめながら、ゆっくり降りてくる。そして、美少女が地面が降り立ち光の柱が消える。
俺と美少女の間にしばしの沈黙が流れる。
「、、、なんかごめんなさい」
「いえっ、これは成り行き上しかたない事です。」
そして美少女はしきり直すように大きな声をだした。
「という訳で初めまして、私は女神クエリア、あなた真島召は交通事故で死にました。なので、、」
「えーっ、俺死んだの!?まさか!?」
俺は突然の死んだ発言に思わずわ大きな声をだす。
「話し、遮らないでもらえますか?今、喋ってるんで。」
「あっ、すみません。」
でも、突然死んだなんて言われたら大声の一つでもあげるだろ、というかこの感じ、、見た目通り、気の強いドライなタイプだな!
「とにかく、真島召は仕事が終わって会社から家まで帰宅途中に青信号を渡っていると赤信号を無視して突っ切ってきたトラックに轢かれて死にました」
その言葉を聞いて俺は完全に思い出してしまった。
そうだ、、その日、俺は連日の営業の仕事(残業も含む)を終え、ヘトヘトになりながら帰路に向かってる途中、トラックに轢かれて死んだんだ、、
俺は呆然と膝から崩れ落ちる。
「そんな、、俺の人生が、、まだ25年しか生きてないのに、、」
ただ、ここで俺はある事を思い出す。
自分が死んで気づいたら謎の部屋、そしてそこに現れる女神、、これはもしかして、、
ラノベでありがちな、、
「あの、!もしかして、このながれだと、若くして不慮で亡くなったのが可哀想だから特例で異世界転移もしくは異世界転生しますか?って今から言う流れですか?」
「流れかどうかは知りませんが、その通りです。今回は異世界転移のチャンスですが」
「や、や、や、やったー!!」
俺はあまりの嬉しさに何度もガッツポーズをする。嬉し涙ももちろん止まらない。
「でっどうしますか?異世界転移します?」
「します!します!します!」
俺は食い気味で答える。
「分かりました。それでは今からあなたが転移したい星を二つの星から選んで下さい。
一つは魔族に征服されている惑星ガルベス。
そして、もう一つは魔族に征服されてもなく、ここ50年戦争もない平和な星、惑星ナルパス。
人気でいうと、やはり世界を救う英雄になりたいという方が多くて惑星ガルベスが多いですね。」
世界を救うかあ、、正直、俺はそんな大層な事をするキャラじゃないしなぁ。
というか今の俺の気持ちは一人でのんびり休みたいなぁ、、もともとコミュ障タイプなのに営業の仕事についてしまったばっかりに、毎日取り引き先の人に愛想を振る舞ったり、飲みの席で無理して陽キャを演じたり、もう暫くはこのすり減らした心を休息でいやしたい、、だったら、、
「惑星ナルパスでお願いします」
「了解しました。ナルパスですね。それではナルパス星でのあなたの職業をお調べします。今から目の前の水晶に手をかざして貰っていいですか?」
そういうと目の前に突如、水晶が現れる。
俺はおもむろにその水晶に手をかざす。
「分かりました。あなたの職業は、、隠者ですね。」
「いっ!隠者!、、すみません、、隠者ってなんですか?」
「俗世間との関係を断ち、隠れるように暮らす人の事ですね。」
「、、そんな職業あります?なんかこう魔法使いとか勇者とかそう言うのは知ってるんですけど」
俺はクエリアに訝しげに聞く。
「とは言われても、この水晶にしっかり隠者って出てるんですから、どうしようもないです。でも、この水晶の情報曰く隠者LVものすごく高いんで、こんなLV高いの他の職業でも見たことないです。だから多分OKじゃないですか?
しかも惑星ナルパスで隠者はかなりのレア職業ですし、
だからオンリーワンの立派な隠者になれますよ」
立派な隠者って、、ただ単にエグい引きこもりって事なんじゃ
、、これで勇気づけてるつもりなら、この女神下手すぎるだろ、、
「珍しいって言ってますけど、ちなみに隠者になると、何ができるんすか?」
「まずモンスターや人間などの察知がかなり遠隔でも出来るようになります。
これにより事前に彼らに会う事を回避できまわ。あと一つは例え出会ったとしても、存在感を限りなく0にする事により相手から認識されなくなります。たまに存在感がなくて
目の前にいるのに、気づかれない奴とかたまにいるじゃないですか。それの究極系ですね。」
、、、俺の学生時代をおもいだす(泣)、、
このタイミングで俺は嫌な事を思い出させるんじゃないよ、、
ただ、残念な事に俺の人間性や気質がちゃんと反映されての隠者なんだな、、でも一人でのんびり暮らしたいからいいか!
そう考えたら最高の能力だな、、
かなり後ろ向きな能力ではあるけれども、、
俺はなんとか考え方を変えて気持ちをすぐに切り替えた。
「あとはアイテムですね、、とりあえずこのパネルから一つ選んでもらっていいですか?」
そういうと自分の目の前に大きなパネルが表示される。
そこにはオリハルコンの剣やグンニグルなどRPGでお馴染みの武器が写真と文字セットでならんいた。
豪華なレパートリーに俺は嫌がおうにも、気分があがる。
ただ一旦、俺は冷静になる。惑星ガルベスならともかく俺が行くのは平和な星ナルパスだ。正直、そんなに戦闘はないの可能性も高い。だとしたらオリハルコンの剣などの強力な武器よりもっと日常で役立つ物の方がいいのではないかと、、
という事を踏まえて俺はパネルを見回す。そして、しばらくして一つ気になったのがあった。それは魔法の農具セットだった。
「この農具セットってなんすか?」
「そのクワで耕した畑で育てると、いつもより10倍の以上のスピードで野菜が育ち、どんな土地でも耕せる魔法のクワと今まで食べた事のある野菜の種が入ってる魔法の種袋、そして、いつでも水が上げれる魔法のじょうろ・3点セットです」
農具って事は農業か、、
その時、俺は想像した。のどかな自然豊かな所で一人気楽に野菜を作る生活を、、、
「いいっ!それっ、すごくいい!
「じゃあ、これにしますか?」
「はいっ、この農具セットにします。」
「分かりました。それでは、こちらが魔法のクワと魔法の種袋と魔法のじょうろになります。」
そういうと空中に一つの魔法のクワがはみ出た、デカイリュックが現れる。
「これに全部入ってるのでとりあえずコレで行って下さい。ちなみにこのリュックもついでにあなたにあげます。」
「ありがとう」
俺はリュックを背負う。
「はいっ。あとっ、これもし良かったらですけど」
そういうとクエリアが日本の田舎に立ってそうな家のミニチュアを渡して来た。
「このミニチュアはなんですか?」
「携帯日本民家です。今は手のひらサイズですが合図一つで本物の日本民家になります。床に置いて解除って言って貰っていいですか?」
家のミニチュアを床に置き「解除」と叫ぶ。
その瞬間、さっきまで手のひらサイズだった家が一気に大きくなり本物の日本民家になる。
「すごい!、、えっ、これもしかして、くれるんですか?」
「はいっ、多分ですが農具セットを選んだという事は野菜を育てるんですよね?
だったら野菜を育てる日本人は民家にすむのが普通かなと思いまして。」
「なんか、すごい偏見だと思うけど本当にありがとう。でもいいの?プレゼントは一つしか駄目なんじゃないの?」
「いいんです。正直言うと携帯日本民家はいっぱい在庫があるんです。携帯ヨーロッパ民家とかヨーロッパ豪邸とかはまだ人気あるんですけど」
まあ、たしかに異世界って聞くと、中世ヨーロッパのイメージが強いし、そうなるとそっち風の建物を選ぶのが普通かな、、
「あと小さくするのはスモールと言ってください。という訳で私からは以上です。今から惑星ナルパスに転移します。携帯民家はリュックに入れておきますね」
その瞬間、目の前の景色が一気に真っ黒になる。
ただ、もうちょっとナルパスについて聞きたかったので「あっ、まだ聴きたい事が!」と俺は叫んだ。
しかし、ときすでに遅し
「それでは」
クエリアの呑気な声が頭に響いた。
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そして次の瞬間、目の前は一面の荒野だった。
「うーむ、もうちょっとナルパスについて聴きたかった。あと、転移するなら転移するで、もうちょっと人通りの多いところが良かったような、、こんな荒野にほっぽり出されてもなあ」
とりあえず人がいる所に行かないとと思った俺はその時クエリアが隠者は人気を察知できるという言葉を思い出した。
とは言え、どうやったら人気を察知できるのか分からなかったので、とりあえず目をつぶり神経を研ぎ澄ました。
その瞬間、自分の目の前をずっと行った所に多くの人気を感じる。
「えらいもんだ。確かに感じるなあ。」
確かに遠くに人気を感じた自分にびっくりする。
俺はもう必要ないスーツの上着とサラリーマンの象徴のネクタイを捨て人気を感じた方に向かって歩き出した。
途中、休憩がてらに魔法のじょうろで水分補給しながら、目的地に向かっていた俺だったが、しばらくして、とうとう街を発見する。
高い石垣に囲まれたその街の正門には多くの勇者や行商人などがならんでおり、その先に憲兵がいて通行証をチェックしていた。
「こりゃ、入れねえなあ」
もちろん転移して間もない身、この世界の通行証なんて持っているわけもない、賄賂はとも一瞬思ったがそんなのももちろんない。
「クエリアさんよ、、もうちょっと、その辺もどうにかしといてくれよ、、」
おもわず、クエリアの愚痴が漏れてしまう。
という事でしばらく考えたのち、あまり良くないが隠者のスキルで存在感を消してバレないように門を 通過する事にした。
一応、スキルを試したかったからいい機会だ!
という訳で息を潜め、心を無にする。
そして自分自身に語りかける。
「俺はここにいない。俺はここにいない。俺はここにいない。」
そして感覚的にではあるが、自分の影がうすくなっていると実感した俺は、存在が消えてるのを確認するため、最後尾に二人で並んでいる勇者と魔法使いのペアの勇者の肩をトントンする。
それにきづいたのか後ろを振り向く勇者
「あれっ、なんですか?なんか用ですか?」
そういい俺に普通に話しかけてくる。
あれっ、俺、普通に見えてるじゃん
とガッカリする。
しかしその後、となりの魔法使いの女性が勇者に
「何、誰もいないとこに話しかけてるのよ?」
それに対し、勇者が俺に指を刺しながら
「いやっ、ここにいるじゃん!なんか辺な服装のニイちゃん」
「いないよっ!」
「いるよ!」
そんな押し問答が続き俺は気づく。
これは多分だけど、この勇者以外には俺の事が見えてねえな!
という事はさっきのトントンが原因で、この勇者にだけ見える様になったのではと考えると、この能力は基本的に自分以外の生物には認識できないけど、自分に何かしらの形で接触したら認識出来る様になると仮説を立ててみた。
そして、その仮説を実証するために、今度はまだ押し問答を続ける魔法使いの肩に今度はトントンする。
「だから、いるじゃん!」
「いない、絶対にいる!」
「いない!絶対にいない!」
「いる!ここに冴えない感じのニイちゃんが、ぼっーと立ってる!」
「絶対いな、、、いるっ!!!」
突然、現れた俺にめちゃくちゃビックリしたのだろう。魔法使いの女は泡を拭いて倒れた。
「エレナ!エレナ!大丈夫か!?」
魔法使いの女はエレナというのだろう。
勇者は魔法使いの女を抱き抱えた!
「エレナーッ!!エレナーッ!!」
勇者は泣き叫びながら、彼女の名を叫んだ。
なんか世界の中心で愛を叫ぶで、こんなシーンあったなとか考えてるうちに二人の様子にさすがの周りの並んでる奴も騒ぎ出す。
「なんだっ、どうした?」
「魔法使いの女が突然倒れたらしいぜ」
「今さっき、なんか分からない事で口論になってたカップルの片割れだろ!」
「大丈夫か?この列の中に医者はいねえのか?」
この騒ぎにさすがの門番も無視できないと気付いたのだろう、体のごつい、いかにも門番といったオッサンが通行証のチェックの仕事をほっぽり出して様子を見にくる。
「おいっ、大丈夫か?」
そしてガラ空きになった街への門、
大チャンスと思った俺は、勇者と魔法使いペアに申し訳ない気持ちと感謝の気持ちを添えて、街への門をくぐる事にする。
本当ごめん、今度何か埋め合わせできる機会があれば必ずするから!
という訳で恐る恐る門に近づき、ドキドキしながらゆっくり門をくぐった。
そして、とうとう街の中への足を踏み入れた俺を待ってたのは異世界とはまさにこの事といったイメージ通りの街並みだった。