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ヌベールの映画の旅  作者: ヌベール
映画の旅第1部
4/105

男と女



1966年のフランス映画です。


これをお読みになってらっしゃる作家さまは、小説を書く時、細かい部分まで綿密に練り上げてから書かれるほうだろうか。それともざっくりと、大筋だけ決めて、頭の中で即興的に物語を組み上げながら書かれるほうだろうか。


映画でも、大きく分けてそこの所は2通りあるようだが、私はこの映画に限っては、相当に計算し尽くし、練り上げて演出したのだろうと漠然と思っていた。


ところがDVDを借りてたまたまそのメイキング映像を見た時、初めて逆であった事を知り、驚いた。


どうやらクロード・ルルーシュ監督は、細かい点はあまり決めないで、即興での演出や俳優たち(子供も含めて)の演技を重視して作ったらしいのだ。


それを知って改めて見ると、俳優たちが自然で生き生きとしている気がする。

どこか、弾むような軽やかさがある。

そしてそこに、あの有名な、ダバダバダというスキャットが重なって、この名作は生まれたのだ。


映像も、白黒の画面を多用しているが、何よりも見た目に美しく、洗練されている。


創作というものは、何を、どのように描くか、ということが問題だが、何を、はさておき、どのように描くか、という点で、この作品は物語も含めて完全に成功した。


で、その何をだが、それは男と女の心の機微を、ということになると思う。


最後になったが、物語に簡単に触れておくと・・・


過去に事故でスタントマンの夫を失ったアンヌ(アヌーク・エーメ)は、ドービルという町にある寄宿学校に娘を預けている。一方、妻を自殺で失ったカーレーサーのジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)も息子を同じ寄宿学校に預けていて、ある日曜日、ふとしたきっかけで、ジャン・ルイの車にアンヌはドービルからパリまで乗せてもらうことになる。


つまり、互いに伴侶を失ったという心の痛手を負っている男女の、出会いと交流、そして心を通わせるまでが細やかに描かれている。


つい最近、この作品のスタッフ、キャストが再結集して、53年後の2人を描いた『男と女 人生最良の日々』という映画が公開された。


果たして、正直なところ53年後なんて描いてほしくなかったと思い、私はまだ観ていない。

老いた2人を見て、ガックリするのが恐いのだ。

観たい気もする。

迷うところなのである。

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― 新着の感想 ―
[一言] その後Ⅲは視聴されましたでしょうか? 愛欲とレースを削ぎ落とし、何が残るのかと思っていましたが、心配無用で御座いました。
[一言] 投稿お疲れ様でございます "男と女"ですが5月革命でフランス映画界を事実上追放された監督と出演者達がアメリカの資本協力で作った続編 "男と女2 86年" という続編が有りますよ。 何故かN…
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