セントラル・ステーション
1998年のブラジル映画です。
日本では、ブラジル映画といってもあまり馴染みがないが、これは一度観たら忘れられない素晴らしい映画だと思う。
いきなり物語。
初老の元女教師のドーラは、リオのセントラルステーションで手紙の代書をして生計を立てていた。ブラジルは字の読み書きができない方が多いので、仕事には事欠かなかった。
ある日そこへ、9歳のジョズエという少年と、その母親がやってくる。母親は、別れた夫(ジョズエの父親)への代書を頼みに来たのだ。
それは、愛している、また一緒に暮らそうという内容だった。
ところがその手紙を書き終え、ポストに投函するためドーラが預かった後、母親は交通事故で急死してしまう。
残されたジョズエは孤児となり、駅で寝泊りする。
ドーラはそんなジョズエを見かねて自宅へ連れて行くが、ひょんなことからジョズエと一緒にジョズエの父親を探すことになる。
母に死なれたジョズエと、ドーラは、母親の残した手紙の住所を頼りに、一緒にバスの旅を始める。
実はドーラの心はすさんでいた。女の盛りはとうにすぎ、手紙の代書で生計は立てられているが、頼れる人もろくにいない。未来への希望もなく、人を心から信じられず、実は代書して預かった手紙は、ポストに投函もせずに捨てていた。ドーラとはそんな女だった。
しかしジョズエとドーラは一緒に旅をするうち、次第に互いが心を通わせていく。まだ子供だから、純粋で、そして寂しそうな瞳をしたジョズエ、窓からの美しい抒情的な風景、色々な人々との出会い、そうしたものがドーラの心に次第に何かあたたかなものとして染み込んでゆく。
最終的にはジョズエは父親に会えないのだが、腹違いの2人の兄に巡り会う。
翌朝早く、2人の兄と寝ているジョズエを起こさずに、ドーラはバスに乗る。
気がついたジョズエはあとを追うが、バスは出発したあとだった。
ジョズエは新しい生活が始まるだろう。もし、自分も人生をやり直せるなら・・・ドーラはバスの中で涙を拭うのだった。
ベルリン国際映画祭グランプリ、ほか世界各国で様々な賞を受けた。




