透視1 俺と男達と婆さん達の裸族村!?ってお話
宜しくお願いします
「ギフトよ、目覚めよ!」
齢い100歳の俺の婆さんが神に祈り、俺のギフトを覚醒させる。所謂12歳の儀は村の広場で村人達が見守る中で執り行われていた。土地によっては秘密の部屋でやるとか有るようだが、俺の村では広場で行われる。
12歳の儀とは、神から与えられるギフトを覚醒させる為の儀式だ。ギフトとは特殊な力で12歳になると誰でも一つ授かる事が出来る。
男子たるものやはり戦士系ギフトか魔法系ギフトに憧れる。友達のアレクは強撃、トーマンは速歩、ミーシャは炎護、サリーは残念ながら裁縫護だったけど喜んでいた。彼等も興味津々で俺を見ている。
「アベルよ、お主のギフトは……」
ゴクリ。頼む!戦士系ギフトー!
「ギフトは…………魔眼」
俺の目がピカーと光った!
魔眼!凄え!いや待て!魔眼って色々な種類が有るはずだ!俺の魔眼は………………オエェえぇぇ~~~。俺の目に映ったのは婆さんの素っ裸な姿…………き、気持ち悪い……マジゲロ吐きそう……。
「……透視かよ……」
衣服が透けて見える魔眼【透視】。所謂盗賊系ギフトだ。衣服だけではなく、壁の向こうや宝箱の中身や罠なんかも見えるとか。
透視。そう透視だ!男の夢!男の希望!いや男の野望だ!!!俺はサリーをガン見した!
可愛い顔に膨よかな生バストがモロ見えだった!次いでミーシャを見た。やはりちっぱいだったか。
「眼福過ぎる!!!」
サリーとミーシャをガン見して鼻血垂れ流しの至福の時……ガグワァハァァ!
「こんエロガキがあああ!」
齢い100歳とは思えない婆さんの右斜め下45度からのリバーブローが俺の腹に突き刺さる。いい角度だぜ!俺は腹を抱えて膝をつき、先程婆さんを見て込み上げていた物が胃から溢れ出る。「きゃあああああ!変態よーーー!」と言う女の子達の声を聞きながら一撃で俺は気を失った。
「が……眼福…………」
♢
あの日からこの村は男達と婆さん達の裸族の村となった。俺の透視は垂れ流しだった。つまりエブリデイ、エブリタイム、エブリバディが透視だった。
婆さん達を除く、大人も子供も女性全員が俺の前には姿を現さない。見掛けたらピュ~と走って逃げて行く。婆さん達だけが俺の前で「いや~ん」と局部を隠す仕草に嘔吐する厳しい日々が続いていた。
俺は婆さんと二人で暮らしていた。狩人だった両親は俺が小さい頃に魔物に襲われ死んでいる。小さい頃から婆さんが執り行う儀式を間近で見ていた影響なのだろうか、レアスキルと呼ばれている魔眼が俺のギフトになった。魔眼は百人に一人いるかいないかと言われている。
魔眼の中でもデビルアイと呼ばれる即死、石化、傀儡等の場合は覚醒した時点で軍に拘引される。国への忠誠が無いと判断されれば子供でも死刑だ。幸いにして透視はデビルアイには認定されていない。
しかし……今日も俺の家では近所の婆さん達が集まって井戸端会議をしている。椅子に座り大股を開けてだ!誰もそんなもん見たくないんだよぉぉぉ!
だから俺は家を出た。山の上にある山小屋で一人暮らしを始める為に。
♢
山小屋での生活は精神的に楽だった。村にいても眼福は全く期待出来ないし、狙ってやったら犯罪者だ。山の中ならそんな事を考えないで生活出来る。婆さん達のアレも見なくてすむ!コレ超重要!
山では獣や鳥を狩り、山菜を採り、魚を釣って生活していた。たまに魔物に襲われ、魔物から逃げて、時には魔物を倒し、剣や弓の技術も日々向上していた。
ある日、俺の魔眼がスキルを覚えた。ギフトが派生スキルを生むケースがある。例えば友達トーマンの速歩は疾歩、襲歩とレベルアップするし、ミーシャの炎護は炎系魔法のレベルで加護も大きくなっていく。
俺の魔眼【透視】は派生魔眼をスキルとして覚えて行くようだ。ギフトとスキルの違いはギフトは魔力を消費しないが、スキルは魔力を消費するので一日辺り使える回数に制限がかかる。
初めて覚えた魔眼スキルは【薬草鑑定】だった。日々の山菜採りで食べれる草、毒のある草、ただのペンペン草、更には薬草等を採取する事で開眼したらしい。
次に覚えたのは【見切り】だった。凶暴な獣や魔物との戦闘で相手の動きを試行錯誤していた事で開眼した。更には【急所】も開眼した。
【急所】を覚えてからは弓矢での狩りや戦闘が多くなった。接近戦よりもリスクが少ないからな。弓矢で遠くから獲物を狙っていたら【望遠】も開眼した。
ギフトの【透視】も布切れぐらいしか透視出来なかったが、スキルとして【透視中】【透視大】が開眼した。【透視大】だと山の裏側迄見える様になった。
月に一回程度は婆さんが人を使って日用品や勉強の為の本を山小屋に届けてくれた。その甲斐もあって【文章鑑定】や【計算式鑑定】等の勉強に役立つ魔眼スキルも何故か開眼した。
俺はこの山の中で三年間を暮らし魔眼スキルも【獣鑑定】【魔物鑑定】【鉱物鑑定】【水質鑑定】等の鑑定スキル、【近接眼】【広角眼】【暗視】等の視界スキル、戦闘に役立つ【加速視】や【未来視】も開眼した。俺のギフト【透視】はひたすら見続けている為か、見る系の派生魔眼スキルが開眼しやすいようだった。
左右の眼で異なる魔眼の同時使用にもチャレンジした。世界がゆっくり動いて見える【加速視】と【急所】を併用する事で、獣や魔物との近接戦闘もかなり楽になった。
そして三年目の白い雪が解け、暖かい春を迎えた頃に婆さんから手紙が届いた。
「オレッドさん、これは?」
オレッドさんは山小屋に物を運んでくれる近所のおじさんだ。俺はお礼にいつも獣の毛皮や牙、薬草等を渡している。
「エリミア婆さんがアベルに渡してくれって渡されてきたぞ」
俺は手紙を開けると中には【王立リムフィリア学院入学推薦状】と婆さんからの手紙が入っていた。手紙はどうやら俺に学校に行けって事らしい。
「其れからこれも渡された」
オレッドさんから渡されたのは紫色のレンズが付いた眼鏡だった。手紙にも書かれていた耐魔眼眼鏡だ。耐魔眼眼鏡は魔眼に対抗する為に作られたレアアイテムだ。俺の場合は自分の効果を抑える魔眼封じの効果が有るみたいだが。
魔眼封じの眼鏡をかけてオレッドさんを見てみると、今までスッポンポンに見えていたオレッドさんが服を着ていた!
「おおお~!オレッドさんが服を着ている!」
「アホか!当たり前だろ!マッパで山を登るアホがいるか!」
「凄いなコレ!」
「だいぶ高かったみたいだぞ。大切に使えよ」
「ああ、分かってるよ」
婆さんありがとな!
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※アンチ感想は削除しますので……心折れるから(^_^;