超ショートショート「とっても紳士的な植物と、適度な人類支配」No66
私は街を散歩していていた。目的は特にない。言うなれば、散歩することが目的だったのだ。
だから、私が公園に差し掛かったとき、空から雷のようなものが落ちてきて、そこから一つの植物のような芽が生えてきたことには、とても驚いたと言えるだろう。
芽を鉢植えに移して家にもちかえった私は、毎日その植物に水をあげて、後は放っておいた。
そして今は…
「中村さん、コーヒー入りましたよ。」
「あ、うん。ありがとー。」
中村とは私の名前である。
そして、今とっても紳士的な佇まいで私がコーヒーを飲んでいるのを向かいの椅子見ているのが、この前拾った植物である。
なぜだか葉っぱが手の形になり、根が足になり、木の実が頭(目も口もないから違うかも)になってしまったのだ。
私は恐る恐る聞いてみる。
「植物さんはいつまでここにいる気?」
植物は、根っこの先までぶるっと震えたあと、
「人間さんがたくさんいるところに行くと何されるか分からないし…もう少し成長するまでここにいたいですが…」
まぁ、いいか。どうせ誰かやってくる家ではないのだ。この植物、厄介なことしないし、すごく気が利くから、別に追い出す必要は無いかな…。
「ちなみに、成長したらどうなるの?」
「もっと人に近づきますね。その後適度に人類を支配しようと想ってます。」
「ふーん…適度にねぇ。」
私はコーヒーを口に含む。
砂糖も適度に入っていて、とても美味しかった。
お恥ずかしながら文章の仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、一生懸命1歩ずつ頑張りたいと思います。アドバイス等をどしどし下さると助かります。
コメントも一言貰えるだけでモチベーションが凄く上がるので、お暇であればお気軽にお願いします。