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タイブ  作者: 佐倉薫流
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本編7

男達は、怖がる香川をじっと見物していた。

いや、まずは精神的にいたぶろうという魂胆である。

香川の額は、不自然な汗でぬれていた。

そんな彼を、西田はうっとりと眺めていた。


「怖がっている香川さんも素敵」


西田の言葉が香川の心に刺さる。

彼女がこんな女性だったとは。


噂には聞いていた。

普通の女の子とは違うということを。

多少我が強い、強引で我侭な子であるとは思った。

その分、外見がちょっと幼い感じに見えるのが、可愛いなと思っていたが、正直、自分が彼女に惹かれる事はなかった。

自分のちょっとした出来心に後悔した。

後悔しても遅いのに。

今の自分は、夢を叶えるために恋愛ごとは避けているのだ。

だから、気になっていた佐桐の誘いも断った。

正直、彼女ならいいかなとも思った。

だけど、自分は夢を取った。

・・・なのに。


女性は分からない。


佐桐は言い寄ってからしばらく自分を説得させようとしていた。

なかなか巧みに話し込んできたが、自分の強固な意志を見せると、あっさりと身を引いた。

手のひらを返したように、今まで情熱的だった彼女が、南極の氷よりも冷たく自分から身を引いた。

それで、身を引いた後、何事も無かったかのようにいつものように接する。

いや、多少は気を使ってくれている。

あんなに情熱的で、むしろ、佐桐がここまでやってもおかしくないほどの熱の入り具合だったのに。


西田は本当に可愛らしい女性だ。

ただの我侭娘ぐらいに思っていたのに、こんなに嫉妬深い女性だったなんて。

いや、嫉妬深いどころではなく、行き過ぎている。

だが、今回の彼女の素性を知って納得した。

おそらく、闇の実力者の娘だろう。

男共も「親分の・・・」と言っていたぐらいだ。

そんな女に惚れ込まれてしまうなんて・・・


「私はそんなに良い男じゃない。見た目だってスマートじゃない。能力だって坂田さんみたいになんでもできるわけじゃない。

なぜ・・・なぜ私なんだ?」


思わず口にしてしまった。

西田に言った訳ではない。

むしろ、自問自答である。


そんな彼の言葉に、西田は答えた。

男達を掻き分けて香川の上にまたがった。

そして、彼に答えた。


「それは・・・香川さんだからよ」


西田は優しく答えると、着ていたブラウスのボタンを外した。

そして、その下にあった黒い下着をそっと外し、中から白く輝く胸を出した。

香川はなぜか目を逸らした。

見てはいけないと思ったのだろうか?

それとも別の理由?

そんな彼にお構いなしに、彼の口元に白い隆起の頂点にある出っ張りを彼の口に押し付ける。


「香川さんだから・・・私のすべてをあげたいの」


西田の目は心酔していた。

彼の唇に触れることで彼を感じているらしい。

しかし、香川は断固として、その甘い誘惑が口の中に侵入してくるのを拒んだ。


西田は彼の態度に苛立ちを感じ、腹にパンチを見舞った。

香川は低くうなった。

西田はもう一発殴った。

香川は思わず咽こんだ。


西田は再び彼から離れた。

そして、男達に言い放った。


「半殺しにして」


男達の目の色が変わった。

香川の表情も曇った。

男達は顔を見合わせて、大きく頷いた。


香川は目を固く閉じた。

「もうダメだ!」

そう思ったとき、彼の頭に声が響いた。


―――君はどこにいるの?!



どこかで聞いた声だった。

彼に、安らぎを与えてくれる声だった。

ただ・・・自分を必死で探している声でもあった。

その声の主は誰だろうか・・・?

香川はそんなことを考える暇も無く、強く心のそこから叫んだ。


―――俺は・・・ここにいる!

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