22連目
ハイド達が夢ヲ刈る者と戦っている頃、カイトはダンジョン8階層にいた。
「この階層もいないか」
ダンジョンに入ってから、カイトはここまで休まず探していた。途中各階のボスの部屋が有ったものの、そのまま素通りしここまで来ていた。
「う~ん、それにしても一体何処にいるんだ?」
そう言ってカイトは8階層も周り終え、9階層に向かう。
「ん?何か変な感じがするな、ニュア、何か感じないか?」
「きゅう?きゅう~、きゅ!」
ニュアはハイドの言葉で周囲を見渡すと鼻をひくひくさせ正面に向けて鳴き声をあげる。カイトが正面を向けるとすごいスピードで此方に向かう足音が聞こえた。
「急いでる?1人かな?」
「はあ、はあ、はあ、おーい!そこの人、助けてくださーい!って、あれ?1人!?」
カイトがその足音の正体を待つこと数秒、その人物はカイトを見るなり喜びの声を挙げるも直ぐにカイトが1人だと知ると戸惑いの表情をする。
「もしかして、行方不明のパーティーの方ですか?」
「え?行方不明?」
カイトの前に現れたのは、黄昏の獅子団のメンバーミラだった。カイト取り敢えず、ミラに地上で1日が立ち、黄昏の獅子団が行方不明になっている事、パーティーの中に貴族がいて、両親が冒険者に捜索依頼を出した事、そしてカイトがギルド長クロンの頼みでその依頼を受けた事などを話した。時間も無いことから、移動しながら話すことにした。
「へえ~地上でそんな事になってるんだ」
「はい、因みに襲われた場所はここから近いですか?」
走りながら状況の説明をし合ったカイトは、ある程度状況が分かるとミラに、襲われた場所を聞く。
「?、近いわよ、といってももう少し先だから急がないと」
ミラは、一緒に向かっているのだからどうしてそんな事を聞くのだろうと、不思議に思っていた。
「このままだと間に合わないので、道だけ教えてください、僕が先に行って食い止めます」
「え?え~!?な、なに考えてのよ!相手はドリームリーパーなのよ!」
ミラはカイトの言葉に驚き、慌てて止めに入る。
「大丈夫ですよ、何とかなります」
「な、何とかなりますって、はあ~分かったわ、仮にもギルド長の推薦だものね、この先を左にまがって真っ直ぐ行くと、左右に別れた道が有るからそれを右に行けば直ぐよ」
「わかりました?じゃあちょっと急ぎますね、後から着いてきてください」
カイトはそう言うと、走るスピードを上げ、一気に左角を曲がり駆けつける。
「!?」
カイトが走り去った後、ミラは言葉に出来ない程驚いて正面を見つめていた。
カイトがダンジョンを駆け抜けて3分程で目的の場所に着いた。そこには、座りながら人の名前を呼ぶ少女と剣を杖がわりにしてかろうじて立っている少年、奥には深手を負って、倒れて動かなくなっている少年と大鎌を振り上げ今まさに止めを刺そうとしている死神っぽい雰囲気の魔物がいた。
「あれが夢ヲ刈る者、おっと、ヤバいかな」
カイトはそう言うと、ストレージから不知火を出し走り出す。そして夢ヲ刈るものが大鎌を振り下ろす時に合わせて不知火を抜き、刃同士をぶつけ合う。
ガキン!
「ふう~何とか間に合った~」
カイトはそう言いながら剣を握る力を強め、夢ヲ刈る者を吹き飛ばす。
「!!!?」
夢ヲ刈る者は力負けをした事に驚愕している様子だった。
「皆、怪我はない?」
ハイドとリーナは一瞬何が起きたかわからないでいたが、気にすることなくカイトが、3人の怪我の状態を確認する。
「あ、あの、貴方は?」
「僕はカイト、君のご両親からの依頼で捜索と救出をしに来た冒険者だよ」
「と、父さんが依頼を…」
「うん、そうだね、話しは後で、取り敢えず彼だね」
カイトはそう言うと、ストレージから今朝ガチャをして出たポーションを倒れていたレントに上からかける、するとみるみる内に傷がふさがり顔色も良くなった。
「良し、これで大丈夫だね、君たちも使うといい」
カイトはそう言うと、ストレージからポーションを2本出しハイドに投げつける。今朝のガチャ内容がポーション6本と鉄剣、きれいな布、水、それとミスリルの剣がSレアで出た為、ポーションには余裕が有った。
「え?わっ、と、と、あ、ありがとうございます」
投げられたポーションを慌てて掴んだハイドはカイトに俺を言って一本使うと、レントの時と同じく傷がたちまち治りその足でリーナにポーションを渡しに行く。
「さてと、後は此方かな」
カイトさそう言うと、持っていた不知火の切っ先をダンジョンの壁に打ち付けられ動かない夢ヲ刈る者に向ける。
「ニュア、僕が殺るから彼らを守ってあげて」
「きゅ!」
カイトはニュアに3人の護衛を頼むと、ニュアは、いいよ!とでも言う様な鳴き声を上げ、カイトの頭からおりてくてくとハイドたちがいる方え歩いて行く。
カイトがニュアに指示を出し正面を向くと、夢ヲ刈る者がゆらゆらと立ち上がり、大鎌を構えていた。
「良し行くか!」
カイトはそう言って不知火を構え向かっていく。夢ヲ刈る者はその動きを捉えきれずにいた。カイトは一瞬にして夢ヲ刈る者との距離を縮めると、不知火で夢ヲ刈る者を大鎌ごと切り裂く。不知火で切り裂かれた所からはスキルで死ぬまで消えない青い焔が出ていた。
「ヴゥゥゥゥゥゥ!!!」
夢ヲ刈る者は呻き声を上げ倒れる。
「不知火のスキルってこういう魔物にも有効なのか」
カイトはそう言うと不知火をストレージにしまう。
こうしてカイトと夢ヲ刈る者の戦いは1分と掛からずに終了してしまった。




