19連目
「良く来たね」
ギルドマスターに呼ばれたカイトは、現在、そのマスターがいる部屋に来ていた。
「何かあったんですか?」
カイトの質問に困った顔をしたギルドマスターのクロンは、カイトに今の状況を説明する。
「君に頼みたい事が2つあってね」
「頼みたい事?」
「そう、実は昨日ダンジョンに入ったパーティーが1組戻って来てないんだよ」
「そうなんですか?」
カイトは今の説明に疑問を抱いたが次のクロンの説明で納得がいった。
「通常であれば1日帰らないことなんて日常茶飯事のことなんだけど、今回は特殊でね、戻らないパーティーの1人にある貴族の子供がいてね、その両親が依頼してきたんだよ、家の息子が帰って来ないってね」
「あぁ、なるほどそれなら納得ですね、それで僕にどうしろと?」
「君にはそのパーティーの捜索と救出をお願いしたい」
カイトはここまでの話を聞いて、予想をしていた答えがクロンから帰ってくる。
「分かりました。引き受けます」
カイトの返答にクロンが少し驚いた顔をした。
「いいのかい?報酬やなぜ君を指名したか聞かなくて」
カイトはお金が欲しいわけではない為、報酬は特に気にしていなかった。どちらかと言うとカイトは自分が今回の依頼になぜ選ばれたのかを知りたかった。
「構いませんよ、そうですね、なら何で僕なのかを一応聞いておきたいですね」
「カイト君を今回の依頼に推薦したのは私なんだ」
「クロンが?どうして?」
「実はそのパーティーが最後に行ったダンジョンの見張りをしていた男に話を聞くと、パーティーの次にダンジョンに入ったのは頭に魔物を乗せた少年だと聞いてね、直ぐに君だと分かったよ。君の前に男女4人グループのパーティーがいなかったかい?」
「僕が?う~ん確かに昨日はダンジョンに行きましたけど…あぁそう言えば、確か僕の前にダンジョンに入ったパーティーがいた様な」
クロンの説明にカイトは昨日のダンジョンの入り口で会ったことを思い出す。
「多分そのパーティーで間違いないね、だから一番最後に会った君なら容姿も分かるんじゃないかと思ってたから私が依頼人である貴族に推薦して、カイト君が選ばれたわけ」
(確かに容姿は分かるけど、見つけられるかな~?)
「大丈夫、最悪、王に頼んで兵を出して貰うと言っていたから、取り敢えず捜索はお願いしたい」
カイトの不安が分かったのか、クロンは苦笑し話しかける。
「分かりました。それで、もう1つの頼みとは?」
パーティー捜索の依頼の話に区切りが着き、カイトはクロンが2つの頼み事と言っていたのを思い出す。
「あ、あーまあその話は後でいいよ、取り敢えず先にパーティーの捜索だ」
クロンはカイトの言葉にさっきよりも酷く困った顔をしていた。
(ん?何だろう?そう言われるとけになるんだけど)
カイトは心の中でそう思いながら、まずはパーティーの捜索が優先と思い、一旦この話を忘れる事にした。
「分かりました。それで何処か手がかりはあるんですか?」
「多分、ダンジョンの5階層から10階層辺りだと思っている」
クロンは確信を持ってそう答える。
「理由は何ですか?」
「まず5階層からは難易度が上がり、ソロ攻略が難しくなる、カイト君みたいな特別な力がない限り、そろでの攻略は厳しいだろう」
(確かに5階層からはソロでは攻略が難しいって見張り役の人も言ってたっけ?)
5階層からはソロでの攻略が難しいと、カイトも聞いていた。ただそれはソロでの攻略と言うことであって、何人かのパーティーであればあの程度のダンジョンであればそこまで難しいとは思えなかった。
「更に最近あのダンジョンには、夢ヲ刈る者がでると言う噂もある」
「夢ヲ刈る者?」
カイトは聞いた事のない魔物に首をかしげ、聞き返す。
「夢ヲ刈る者は初級のダンジョンにごく稀に現れる魔物でね、その強さは上級ダンジョン並みと言われていて、初心者パーティー何かはまず倒せない、もし遭遇したら全力で逃げるしかないから初心者の間じゃあ夢ヲ刈る者、ドリームリーパーって言われているんだよ」
「へえ、そんな魔物がいるんですね~」
カイトはフェルフフェリアに来てまだ3日位しか経っていない為、魔物の事などは全然知らなかった。
「その夢ヲ刈る者って、あの洞窟のダンジョンには今まで出現しなかったんですか?」
「そうだね、洞窟ダンジョンが出現して5年程だけどつい最近までは現れる兆候すらなかった」
クロンの言葉にカイトは考え始める。
(なるほど、もしかしたらフェルが言った事が関係してるのかな?もしそうなら、やっぱり僕にも関係あるよね)
カイトは、この世界に転生する前のフェルとの会話を思い出していた。
「分かりました、時間にあまり余裕が無さそうなので、直ぐに向かいます」
「助かるよ、報酬に関しては期待してくれ、その貴族の両親が息子を見つけられたら結構な額を報酬で渡す話があるから」
「分かりました」
カイトはそう言うと、ギルド長室を出ていく。
「はぁ~」
カイトが出ていくと、クロンは深くため息を着き、自分の目の前にある机の引き出しを開ける。そこには一通の手紙が入っていた。見た目は普通の手紙だが1つだけ他の手紙とは違う所があった。それは、手紙を止める為に押す判子に王家の紋章が刻まれていた。
「はぁ~どうしようかな~」
クロンはもう一度深くため息を着くと、引き出しを元に戻し、これからの事について考える。




