17連目
「これがアシッドスライムの魔石か…スライムより少し大きい位かな」
カイトは、そんな事を考え魔石をストレージに仕舞うと、元来た道を戻って行く。
分かれ道まで戻って来たカイトは、そのまま2階層に繋がる道を行く。下に行く階段が見えてくる、カイトは、階段の手前で止まると隣を見る、隣には扉があり、何処がに繋がっているようだった。
「ん?この扉何だろう?」
カイトは、疑問に思いつつ扉に少し興味を持ち、扉を開けてみる。中にはギルドからダンジョンに移動する為に使用した転移陣に似た魔法陣がそこに有った。
「これは…あぁなるほど、そう言う事か、これが地上に戻る転移陣なのか」
ダンジョンの門番が言っていた通り、各階には地上戻る為の転移陣があり、一度その転移陣で地上に上がると、次ダンジョンに入る時、最後にいた階層からスタートできるらしいが、どういう仕組みかは門番もわからないらしい。とにかくこの転移陣を使うと地上にある転移陣に戻ることができると言うことは覚えてほしいと言われていた。
「まだ時間に余裕もあるし、もう少し進んでもいいかな」
「きゅう~」
カイトとニュアはそのまま転移陣の部屋の確認だけをして、扉を締め、次の階層に行く階段に向かう。
2階層に降りたカイトとニュアは、一階層とあまり風景が変わらない為、進み方もある程度わかりそのまま進んでいく。
「う~ん、一階と余り変わらないな~、ニュア、気配とかある?」
「きゅ?きゅう~」
二階層に入り、いまだに魔物が出ず、そろそろ魔物が現れるんじゃないかと思い、ニュアに気配を探されている時だった。
「あれは…やっと魔物が出てきたか」
カイトの前方に現れたのは、額に1本の角が生えたウサギとスライムだった。カイトは、初めて見る魔物に神眼を使い鑑定してみる。
名前 ホーンラビット ランク F
足が早く、素早い動きを得意とする魔物だが、攻撃が角を使い突撃するだけの為、避けやすく倒しやすい。
「ふーむ、なるほど…おっと!」
カイトがホーンラビットの鑑定をしていると、ホーンラビットが、素早い動きで近付き、とっしんをしてきた。カイトはそれを、身体の上半身だけを動かし右に往なすと、ストレージからブーメランナイフを取り出しホーンラビットに向かって投げ付ける。
「きゃう!」
ブーメランナイフに当たったホーンラビットは、鳴き声を上げ消えていく。カイトは戻ってきたブーメランナイフを空かさず後ろのスライムに投げ倒す。
「さっきも思ったけどやっぱり狭い所だと此方の方が使いやすいな」
カイトはそう言うと、戻ってきたブーメランナイフを見つめる。カイトは、今回のダンジョンでは不知火を使わない事を心に決めていた。なぜか、それはブーメランナイフの力の確認と。不知火なしでどこまで行けるかを確認したかったからだった。
「まあ、このダンジョンの狭さだと不知火を使った方が動き難くなるし、結果は良かったかな」
カイトはそのままブーメランナイフを仕舞うと、魔石を回収し、ダンジョン探索を再開する。
それからカイトは、2階層を難無く攻略し、更に3階層、4階層と次々と攻略していく。
「何か拍子抜けだな~」
「きゅう~」
カイトとニュアは、ここまでの階のボスを思い出しながらそんなことを呟く。
あれから、ホーンラビットを倒したカイトは、2階層のボスの部屋を見つけ中を確認すると、一階層の時と同じ作りの空間に、中央には、ホーンラビットを大きくした様な魔物がいた。鑑定すると、ビッグホーンラビット、ランク D と表示されており、これをカイトはブーメランナイフを投げ一撃で倒す。
次にカイトは、3階層に行き探索を始めるが、ボス部屋は意外と簡単に見つかり、そのままボスを攻略、そして4階層では、探索で分かれ道が多く、少々手こずって仕舞ったが、何とかボスの部屋にたどり着く。4階層のボスは、ホブゴブリンと言う前に倒したゴブリンの上位種らしく、ランクDだった。ニュアがボスを倒したいとカイトの頭をぺしぺし叩くので、今回はニュアにボスを譲り、カイトは始めの位置で眺める事にした。
戦闘は呆気ないもので、ニュアの放った氷の魔法でホブゴブリンが速攻で倒される。ニュアは何事も無かった様に戻ってくると、いつもの定位置であるカイトの頭の上に登り手足をだらけさせる。
そして現在カイト達は、5階層のボスの部屋の前まで来ていた。
「今日はここのボスのを倒して戻ろうか」
「きゅ!」
そうしてカイト達は、今日最後のボスに挑むべく、ボス部屋に足を向けるのであった。