武器の無い世界
超短編です。思いついて即書いています。
同日23:24 おかしい点に気づいて少し改稿
22XX年、地球は、超国家間の条約で新しい時代を迎える事になった。
ユーラシア大陸を基盤とした超国家「中日連邦」、南北アメリカ大陸を中心とした「U.S.C(合衆国カナダ)」、ヨーロッパ・アフリカからなる「E.A.U(ヨーロッパ、アフリカ連合)」この三カ国による熾烈な覇権争いに終止符が打たれたのだ。
それは、「三カ国武器撤廃条約」である。
これは、武器又は武器に転用できるであろう物を全て破棄するという条約である。この条約以降武器及び武器に転用できる物は製造禁止にもなるという厳しい条約である。
この条約が締結されるまで長い道のりがあった。
それは、〝どこまで”を武器として認めるのかと言う事だ。
ある者は言う、「武器とは大量に人を殺す為に出てきた物を言う。故に銃、爆薬、核兵器、戦車、戦闘機などが武器である」と。
またある者は言う、「武器とは人を傷つけるものだと言う。故にナイフ、ボウガン、弓矢、木刀も武器である」と。
またまたある者は言う、「武器とは持つ者の事だと言う。故にボクサーの拳、テコンドーの足、ムエタイの肘も武器である」と。
この様に三者三様の意見が出てきて論争に論争を経て、出した答えは、武器と思われる物を破棄すると言う玉虫色の声明となった。
この決定にある者は言う、「これで武器の無い平和な世界が来る」と。
またある者は言う、「これで人類の進化は永遠に止まる」と。
またまたある者は言う、「結局何も変わらない」と。
様々な批判が相次いだが、結局この条約を三カ国は締結するに至った。
条約は締結してから三年後に各々が武器と定めるものをマリアナ海溝に捨てる事になった。
そして、時は流れ、三年が経った。
最初にE.A.Uが持ってきた武器は、銃器、戦車、爆弾各種であった。
E.A.Uはこの武器の山を前に演説をした。
「我々が持ってきた物は、過去に大量破壊兵器と言われた物の後継機たちである。この大量破壊兵器を捨てる事が武器を捨てる事だ!」
そう言って彼らはそっと後ろ手にナイフを握った。
次にU.S.Cが持ってきた武器は、銃器などに加えてナイフ等の刃物も捨てると宣言し、演説をした。
「E.A.Uはまだ甘い!武器とは等しく人を傷つけるものである。よって我らは刃物も捨てる!」
そう言って彼らは後ろ手に棍棒を握った。
最後に中日連邦は銃器やナイフに加えて囚人服のU.S.CやE.A.Uの男たちを連れてきて演説を始めた。
「何を偉そうに言うか!お前たちは武器を捨てると言いつつもその後ろ手にナイフや棍棒を隠し持っているじゃないか!何よりも人を傷つけるのは人である!我らはそう考え、過去に人を殺した事のある囚人もここに捨てるつもりである!」
これには流石に他の二カ国も驚き、慌て、そして人を捨てると言う暴挙を止める様に説得をし始めた。
その様子を見た中日連邦の議員たちは、彼らに対してこう言ったのだ。
「銃器などは破壊兵器であり捨てなければならない。しかし!それと同じく武器として使おうと言う心もここに捨てなければ、真の平和は訪れない!」
この言葉を聞いた二カ国は己の考えに恥じ入り、後ろ手に隠していた武器を捨て、二度と同じ過ちを繰り返さない様に誓ったのだった。
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