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S h i o n ー荒野の少女ー  作者: D@isk
荒野に生きる少女
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孤高の赤 シオン

序章


西暦2050年。地球に隕石が降り注いだ。米国、日本、ロシアといった宇宙開発に長けた国々は対応に追われたがその大量の隕石には太刀打ちできなかった。

大量の隕石は大地に強大なダメージにより木々は枯れ、荒野と砂漠が広がり続けた。しかし、生きる力は強く人間や生き物は絶滅しなかった。

のちにこれを『神の涙』と歴史に名を残す事になる。

それから50年が経ち文明が徐々に復興した。が、世界の地形は変わると同時に生態系が変わり始め人類の生活も変わり始めた。荒野化とした世界中をめぐり廃墟とした文明で古代機械ロストテクノジーの発掘する者。怪物化した生物の退治を請け負う者。そして、人間が人間を襲う者。

エネルギーも化石燃料から石炭燃料に後退し原子力は今の文明では危険視され今は稼働していない。その代わり太陽光発電や風力発電が人類の支えとなっている。

さて、この荒れ果てた世界に生きる人々の物語が今、始まる。


第一章 レッド


西暦2100年 エリア67。バル砂漠


私は今、砂漠の真ん中でひっそりと佇んでいた。

私の名前はシオン・マグナイト。歳は17歳。赤い髪と砂と埃が混ざったフード付きのベージュのコート。そして、コートの下には赤い迷彩服を着ているのが特徴だ。性別は女性で主に怪物たちを退治したり犯罪者アウトローを捕獲または討伐する仕事を生業とするハンターだ。

地球が荒野と砂漠になって50年。人々の心も荒れ果てるのには早すぎる年数だった。そして私もこの時代に生きている。ある事件によって師匠の元でこの時代のいろはと銃器の扱いや武術を学んだ。

まぁ、それを思い出すと背筋が凍るほどなので思い出すのも嫌なので、また別の話にするとして……

今は一人で行動している。これは私のスタンスで滅多な事がない限りチームを組むことはない。そのため、赤い髪、赤い迷彩服、一人ということもありこう言われている。


ー孤高の(レッド)


はぁー。なぜこんな異名がついたのか聞きたい。確かに確かに私は赤いよ?赤いし独りだよ?でもだからと言って…孤高の(レッド)って……何と無く落ち込む。

と、そんなくだらない事を考えていると地面が揺れた。

「来たか……」

私はそう呟くと左腰からハンドガンを取り出し右手で構え《ヤツ》の気配を探す。そして……

砂漠の中から強大なサソリが出てきた。

そのサソリは左右に六つの紅色の瞳。四つのハサミ。脚は左右に四本づつ。尾は2メートルぐらいで全長は5メートルくらいあるポイズドスコーピオンだ。尾は鋭く大きな針から紫色の雫が垂れた。

その雫が落ちるとじゅっと音を立てた。

間違いなくあれは硫酸の類の毒だ。あんなの受けたら考えなくてもわかる。つか、考えたくない。

…この依頼、受けるんじゃなかった。後悔先に立たずとはこの事言うんだなとしみじみと思い、私は銃口をポイズドスコーピオンに向け一発二発と発泡した………が。

ガンガンと硬い皮膚に阻まれて全くダメージがない。それ所かサソリは私に気づきカサカサとこっちに向かってきた!

「く、くんじゃないわよー」

そう叫んだところでサソリは聞くわけがない。あいつにあるのはただ人を生物を襲い《食欲》と言うなの欲望を満たすだけ。つまり、私はあいつにとって獲物だ。

だけど、それは私も同じだ。あいつは私の獲物だ。この依頼、『ポイズドスコーピオンの討伐。成功賞金5000$』なのだ。

あぁ、$《ドル》は昔の米国の通貨らしいけど今は世界崩壊し全ての通貨が統一しこの$になった。

ともかくこいつを討伐しなきゃ明日の食費や弾代、家賃などなど私の生活に関わる。

その前に……私の命も無くなるし。そういえばあの鬼師匠が言っていたっけ……


『この世に生きるためにはこれだけ覚えておけ!弱肉強食!強い奴しか生き残れんぞ!だから、私もお前を殺す気でお前を鍛える!だから、死ぬ気で耐えて見せよ!』

『し、師匠!死んだら元もこうもないんじゃ…イテッ!』

『口答えするな!次、口答えしたらグーで殴るぞ馬鹿弟子!』

『もう殴っているし…』


思い出したくないこと思い出してしまったが、師匠の言う通りだ。今の世界は強い者しか生き残れない。その《強い》というのは銃器をうまく使えるかとか力が強いとかじゃない。

《生きたい》と思う力が無ければ即ち死に近づく。

私は鬼師匠から教わった教えだ。だから……

「悪いけど、あんたはここで死んでもらうわよ?覚悟いいかしら、おばけサソリさん?」

私はサソリにそう言い、ハンドガンを腰のホルスターにしまい。もう一つの相棒のアサルトライフルを肩から降ろしセーフティを解除し銃口をサソリの紅色の瞳を狙う。

「はぁあああぁーーー」

叫びなら引き鉄を引くと強い反動が体全体に震えた。

一発二発と瞳に当たると一つの瞳が砕けサソリの体液か飛び散った。

その瞬間、サソリは耳を塞ぐほどの甲高い鳴き声が砂漠中に響き渡った。私の肌がビリビリ伝わっていて耳を塞がなきゃ鼓膜が破れるんじゃないかと思うほどだった。

奴が怯んだと私はそう思い、立て続けに奴の瞳を一つ二つと潰した。

だが、サソリも負けていない。針から毒液を私に向かって撒き散らす。それをうまく交わすと今度は私に素早く近づき自慢の右ハサミで左横に振りかぶる。それをしゃがみうまく交わし私はハサミの関節部分を狙い連射した。


何分?何時間?この攻防が続いた。弾も少なくなってきた。私の体力もだんだん無くなってきた。でも、それも相手も同じだ。目は残り左右合わせ2つ。ハサミは一つ取り除いた。

私は砂漠の砂を蹴り出し今度は一番厄介な尾の針を狙いを定める為近づいた。残り少ない弾を全て尾に撃ち込んだ。

弾が無くなると私はサソリから離れグレネードボムを投げ込んだ。

そして、ドドドッと爆発音が聞こえると尾がサソリの胴体が別れるのが見えた。私はサソリの方に近づくと胴体と尾の間から緑色の煙が立ち込み始めた。

「やばいっ!」

あれはやばい!マジでやばい!あんなの吸い込んだら一瞬で逝ける!

即座にサソリから距離を取り煙が無くなるのを待った。

10分ぐらい経ったか?だんだん煙がなくなるとそこには動かなくなったサソリが鎮座していた。

瞳はさっきまでの紅色は無くなり黒くなっていた。

ようやく、死んだんだ。と私は腰にかかっているロープを取り出しサソリを巻き始めた。

これが大変なんだよな。でも、討伐した証拠をギルドに持って行かなきゃ信じてもらえない。


街に戻ったのはそれから1時間も掛かった。

こいつデカイし重いし…こんなか弱い少女の細腕でもっていくなんて…

と、バカなことを考えていると、ギルドマスターがやってきた。

「おーーー、ポイズドスコーピオンを討伐したか、よーやったよーやった。」

「じっちゃん…。いいから、賞金5000$早く頂戴。こっちは、早くシャワー浴びたいの…、お腹減ったの!弾も補充したいの!!」

「わかった、分かった!せっかちな娘じゃ、ほれ5000$じゃ。」

ギルドマスターのじっちゃんから賞金を受け取り、挨拶して街の中に入った。

このエリアでは一番の都市『クランバム』。私はここを拠点としている。

エリアとは地域ごとに分かれている意味をしている。他のエリアに入るにはパスポートが必要でこれがなきゃエリアに入ることができない。

ここ、エリア67番地は比較的に盛んなエリアでは人気が高いエリアだ。もちろん、人気なエリアほど犯罪も多い。それ即ち、そういったアウトローを捕まえる依頼もある訳でハンターである私にとってうってつけなエリアである。


これが、今の私のこの荒野と砂漠の世界に生き方である。

(第二章につづく)




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