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第二話

神風 かみかぜ 迅 じん 、それが俺の名前だ…ありふれた?? 名前である。


そして、この右隣で一緒に走ってい る、清楚な黒髪にストレートロングヘ アーの女子が天池 あまち ………えーと…確か…咲希 さき …だったと思う。


何しろ今までは全く接点が無かったの だから名前を覚えてなくてもおかしく はない。


何故、俺達が一緒に走っているのかと 言うと、今日、俺は寝坊した。それで 全く同じ日にたまたま、こいつも寝坊 してしまった…というわけだ。


今日は終業式で明日から夏休みなので 気が抜けて起きれなかったんだ。


学校までの通学路は途中から一本道な ので一緒に走ってる。宿題が増えるの はなるべく避けたいからな。


『はぁっ…はっ……くっ…あと20分し かない…どうする?…諦める?…天池… さん?』


「………ふぅ…」


と、突然天池が立ち止まった。


『どうかした?…諦める?』


「…私…疲れた。遅刻してく。… えーっと…神風君…?だっけ?先に行っ てて。」


俺は自分の事を棚にあげて…名前をう ろ覚えにされてた事に少々ムッとした ので、先に行くことにした。


『分かった。先に行ってるから、ちゃ んと後から来いよ?』


「分かってる。」


『じゃあな、学校で。』


「うん。」


俺は遅刻して宿題が増えるのが嫌だっ たので結構本気で走った。


『はっ…はっ…はあぁっ……は~~っ …』


先に行く………事にしたはずたったの だが、俺は妙なむず痒さを胸に抱えた まま学校へ行く気になれず、走るのを やめて少し待つことにした。


『はぁ…宿題かぁ…まぁ…少しくらい 良いか…。』


遅刻すれば宿題が増えるのだが、そん な考えを頭の隅に押しやった。


……………。


そして、待っているのだが待っていて もなかなか来ない。


『…遅いな…』


俺が待ち始めてから既に10分は経過し ている。普通に考えればもう来ても良 い筈だ…。


『仕方ない…行くか…』


少し心配な気がしたので、我ながらお 人好しだなぁ…と思いつつも来た道を 戻ることにした。


『…ったく…なんだかな…』


と、愚痴っていると…さっきの天池と 分かれた場所まで戻ってきていたのだ が……居ない。


確実にさっき天池はここで立ち止まっ た筈だ。にもかかわらず…居ない。


一本道なのですれ違いは有り得ない。


家に帰ったのかな…とか考えている と…バサッ『うわっ!!』


いきなり目の前に黒いものが飛び込ん できたので、驚いて反射的に飛びすさ ると黒いものの姿がよく見えた。


マントだ。マントを被った人のよう だ。


こいつ…今何処から現れたんだ…と観 察していると、


【…お前…歳はいくつだ?】


あまりにも突然過ぎたので俺は思わず 答えてしまった。『14歳です。』と 言ってから怪しいことに気付き、


『何でいきなりそんなことを聞くんで すか?』


【そんなことはどうでも良い…お前も 第二中学校の生徒か?】


いきなり聞かれて、もやもやした気分 になりながらも、答えないと放してく れそうにないので答える。


『はぁぁ~…おれ……?』と言いかけて あることに気付き口をつぐむ。


『…ちょっと待てよ…お前も…て何 だ?!他に誰かに聞いたのか?!』


言いながら俺は底知れぬ不安が脳裏を 過る…。


【そうだ…さっきまで…ここに居た黒 髪の女に聞いた…。】


そう言われ、その女が天池だと理解し ていながらも、念のため奴に聞いた。


『…その女…てのは何を着てたんだ?何 処に行ったか知らない?』


【お前が第二中学校の生徒か違うのか 答えたら教えてやろう。】


そういうので、俺はげんなりしつつも ちゃんと答えた。


『はぁ…俺は第二中学校の生徒です よ。』


俺が答えると、


【…ふっ…そうか…。】


それまで感情を一切表に出さなかった 奴が笑った…ような気がした。


次の奴の言葉で俺は全てを理解するこ とになる。


【そうか…そうか…お前もあの学校の 生徒なんだな…じゃあお前もだな。】


その言葉を聞いて俺は気づいた。こい つが天池をどこかへやったのだ。


『天池…さんをどこへ連れていっ た?!』


【今教える必要はない…少し待ってい ろ。じきに分かる…。】


『それはどういう…っ!!!!』


俺の言葉は途中で途切れてしまった。


何故なら…そのマントの奴が突然懐か ら変な物を取り出して何かを呟いた途 端に、その物体から青い煙が噴き出し てきて俺を包んだからである。


くそっ!!


……毒かもしれないので、息を止めて いたから心の中で悪態をついた。


しかし、ここは外なので煙は別に籠る わけでもなく…すぐに薄れていっ た…。


すると、煙が無くなった場所に何かが 横たわっているのが見えた。


そして、それは…


『なっ…何で天池…さんが!?』


…そうか…あの物体のなかに天池が 入っていたのか…でも普通有り得な い。しかし、俺が深く考える前に違う ことでその考えは掻き消されてしま う…。


……さっきまでいたマントの奴が消え ていた。


周りを見回しても、天池しか居ないの で、一安心しながら…俺は呟いた…。


『…一体奴は何だったんだ…』


と呟きながら何かがおかしいことに気 づく…………あ"!!!


…蝉が鳴いていない!!…もう七月も半 ばに差し掛かる真夏日である。


さっきまで鳴いていた蝉の鳴き声が全 く聞こえない。…それどころか、風す らも息を潜めてしまったかのように止 まっていた。


『何だよ…なんなんだよこれはっ!!』


物音ひとつしない…聞こえるのは自分 と天池の呼吸音のみだ。


『……???!』


その時、日が何かに遮られて陰った。


咄嗟に上を見ると…さっきのマントの 奴が上にいた。


宙に浮いている。


普通ならもっと驚く事なのだが、俺は さっきまでに色々と驚き過ぎていて疲 れていたのであまり驚かなかった。


『お前は…一体誰なん…いや、何なん だ…?』


奴は俺の質問には答えずにじっと何か を待っているようだった。


「…ん…あれ……ここは…?」


はっとして辺りを見回すと少し離れた 所に横たわっていた天池が起きてい た。


その事に安堵しながら…俺はマントの 奴に視線を戻す。


【……目が覚めたようだな…では、始 めよう。】


『は…?お前何言って…』パチンっ ………?!!


そのマントの奴は左手をあげて指をな らした。


何なのかと訝しげに思っていると奴が 喋った。


【…命を尽して闘い抜いて生き残るが いい。では…次元の…………で待って いるぞ。】


と、言い残してマントの奴は姿を現し た時と同じように突然消えた。


途中…奴の言葉が聞こえなかったのだ が、気にせずに、天池に話しかけよう とすると…


『なぁ…天池…さん?』


「きゃあぁぁ~~っ!!」


俺はビックリして天池の方を向いた。


すると…なんと天池の体が半分ほど地 面に穿たれた黒い孔のなかに引きずり 込まれて埋まっていた。


俺はすぐさま駆け寄り、天池の体を 引っ張りあげようとしたのだが、どん どん引きずり込まれてしまい…全然持 ち上がらない。


『ぐうぅっ…ぐっ…くそっ…どうした ら…』


と、何かいいアイデアは無いかと考え ていると…


ぐぐぐ…ぐんっ


と更に吸い込む力が強まったと思った 矢先に、天池も俺も吸い込まれてし まった。


暫く、暗闇の中を落ちる感覚が続いて いたのだが突然…


ズガガアァン…


という激しい衝撃の後に俺は気を失っ た。


「…く……ん……君!!神風君!!」


うるさいと思いつつも目を開ける。


『ん~…ん?あれ?』


何で天池…さんがいるの?…と言いかけ たが、すぐに口をつぐむ。


俺たちは一緒に黒い孔に吸い込まれた んだった…。


『ふっ…ははっ…それにしてもよく生 きてたなぁ……大丈夫だった?天池…さ ん?』


「わ…私は大丈夫…。」


『そうか…良かった…。』


「ごめんね…私のせいで神風くんま で…」


『いいよいいよ!!気にすんなよ♪俺が 勝手に飛び込んだだけだしな?』


「う…うん…ありがと…」


『おう♪』


…さて…


思わず大声で叫ぶ…


『ここは何処なんだ!?』

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