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第一話

…空に浮かぶ月は普通ではあり得ない、青色をしている。

何故月が青いのか…それは分からない。

ただひとつ確実に言えることがある。

それは、ここが日本ではないどこか… ということだけだ。

何故なら、月が青いから。

日本どころか、アメリカでも…中国でもない。

もしかしたら…というよりは絶対にそうなのだが、ここは地球ではない。

どうして断言出来るのか、簡単なことだ。

地球のどこを探しても青い月が見える場所なんて存在しない。有り得ない。

だが…俺の見上げる空には、星なんてものは一つすら存在を許されていない…ただただ、青い月が空虚に浮かんでいるだけだ。

だから、ここは地球ではないどこかである…と言える。

俺はこれを夢だと考え…自分の髪の毛を引っ張ったり…耳をつねったりしてみた……のだが、痛い。普通に痛い。

いくらやっても頭と耳が痛くなるだけで他になにも変わらない…。

何故、このような所にいるのかと言うと、それは、あの変なマントで全身を隠した、男なのか…女なのかも分からない奴のせい…だと思う。

いや…他に考えられない。

ここが日本でも地球でもないという事実を噛み締めながら、俺は、さっきまでいたあの世界に想いを馳せていた………俺が居るべきであるはずの、平凡で普通な世界に…日本…いや…地球へと………。