121と41の間
121番の僕はここにいるはずだった。
41番の彼女はここにいないはずだった。
121番というのはつくづく嫌な番号だった。
この番号はことあるごとに僕につきまといそして僕を絶望の奈落の底に突き落とす最悪な番号だった。
そして僕はまた121と書かれた紙を受け取る。
大きな溜め息をついて、きっと今回もダメだなと思いその紙をぐしゃぐしゃにしたい衝動にかられるが、そこをぐっと抑えて我慢する。
「プリントは全員に配られたか」
と先生が言う。
そんなのいちいち確認しなくてもいいだろうと窓の外を眺めながら思う。
「先生‼一枚足りません」
と言う声が聞こえたので、前言撤回。
やっぱり確認は大事だよな。
と思い声の聞こえたほうをみると、彼女が私のプリントなんてなくても大丈夫だよと言うように少し迷惑そうな顔をしていた気がした。
「そうか、ごめんな。そういえばこのクラスは41人だったな。他のクラスが40人だからうっかりしていたよ。」
先生はそう言って彼女にプリントを渡した。
先生の長い長い話のおかげでもうすっかり夕方だ。
部活の生徒はこれから部活だと酷く気の毒思い、バス待ちの生徒を見てこれからバスで帰るときっともうあたりは真っ暗ななんだろう僕は歩いて帰れて良かったなと思った。
そんなことを考えているといつもほとんど人の通らない道についた。
この道をいけばもうすぐ家につく。
すると自分の前のほうに人影が見えた気がした。
よく見るとあの41番の彼女だった。
彼女は立ち止まって紙を捨てようとしていた。
それは僕がぐしゃぐしゃにしてしまいたい衝動にかられた紙だった。
僕にとってはいらない紙だが、彼女にとってはあった方がいい紙だ。
慌てて僕は彼女に紙を捨てるのを阻止した。すると彼女はすごく驚いた顔して、すぐ迷惑そうな顔をした。
どうしてこんな顔をするのだろう。
そう思っていると彼女は小さく私はここにいるはずの人間じゃないのにと呟いた。
贅沢な悩みだと思う。
じゃ、きっと僕はここにいるはずの人間だろうと思った。
121番の僕はここいるはずなのに、いないかのように埋れてしまっている。
そう彼女に伝えると彼女は埋れてなんかいないよと言った。
121番が埋れても君がここにいるのを私は知ってるから。
そう言って笑った。
笑った彼女を僕は初めて見た。
そして彼女はここにいるはずじゃない私が知ってても意味がないねと言った。
どうしてここにいるはずじゃないのだろうかと彼女にきいた。
きっと言いづらいだろうと思ったが、彼女はすんなり話てくれた。
あの学校に存在するはずがない41番の話をそして彼女は言った。
だから自分がいるはずじゃない場所に私の跡を残したくないと。
でも彼女はここにいる。
いるはずがなくてももうここにいるだから自分がいた跡を残してもいいんじゃないかと彼女に言った。
すると彼女は泣だしてしまった。
そしてありがとうと言って無理やりな笑顔をつくった。
ここにいるはずじゃないからここに跡を残していった跡が怖いと彼女言う。
そして彼女が言い終わる前に僕は大丈夫だと言った。
そんな保証はないけれど、きっと大丈夫だと思うから。
そのあと弱々しく呟いた僕にありがとうと言ってこの場を去っていった。
121番の僕は埋れてしまったけどここにいた
41番の彼女は跡を残してそこにいた
いるはずな僕といるはずじゃない彼女はここにいた。
あっ、あった。
121番がそこにあった。
埋れてずにそこにあった。
41番の彼女の隣に。
41番はの彼女は僕の隣でしっかり跡をつけてそこにいた。
いるはずじゃなくても跡を残してそこにいた。
121番と41番との間に