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幻想過去談議 ~Conversation about Infectious Disease~

作者: jackvaldy

関東大震災のことを題材のひとつとして使っておりますが、朝鮮とか韓国とかの人はちょっと気分悪いかもしれません。悪意をこめて書いてはいませんが。

地底へ続く岩だらけの薄暗い道。かつて紅白巫女や白黒魔法使いなどがこの道を通った。

そんな道の、長さで言ったら真ん中ぐらい。

そこに、土蜘蛛と釣瓶落としが酒を持って談笑していた。


「ハハハ、で、その妖怪はそれからどうしたって?」

「私の釣瓶の取っ手を咥えて走り出したわ。私は落っことされないようにつかまるので精一杯だった。」

「くく、ほんっとーに面白いね。あんたも中々いろんな昔話、持ってんじゃないか。」

「私のことはもう良いわ。今度は、私がヤマメの話を聞かせてもらう番よ?」


釣瓶落としはその体に見合った大きさのお猪口を口に運ぶ。

土蜘蛛は一瞬考えるそぶりを見せてから、同じようにお猪口を口に持っていった。


「そうねえ、私は……」

「お邪魔するわよ」

「おわっ!?」


何も無い空間からいきなり出てきたのは境界を操る幻想郷の管理者。

いつもの通り白い扇子を持っているが、別の手にはお猪口を持っていた。


「楽しそうだから、混ぜてもらいたいのだけれど。良いかしら?」

「ああもう、びっくりしたじゃないか。いつもそうだけれど、あれ?いつもって言うほどよく会ってはないか。じゃあ、たまにそうだけれど、いきなり何の前触れも無く出てくるのはやめてもらえないか」

「前触れって、私が出てくる前にあらかじめ『八雲紫が出てきます』と書いた紙でも出しておけば良いのかしら?」


ニコニコと笑いながらお猪口を差し出す。

土蜘蛛は一つ溜め息をついてから境界を操る妖怪に酒を注いでやった。


「ところで、懐かしい話をしていたようだけれど?」


お猪口を空にしてから言う。


「ああ、昔の話をちょっとしていたところだ。聞き手と話し手に別れてな。キスメの話は面白かったぞ」

「私のことは良いから……」


釣瓶の中で酒気ではない赤みで頬を染める小さな妖怪。彼女は目で目の前の蜘蛛の妖怪にさっさと話せ、と目で促した。


「折角だから、幻想郷に来るまでのあなたのことを話したらどう?彼女は知っているのかしら?」

「……いや、話した記憶は無いな。よし、それを話そうか。」



◇◆◇◆◇◆◇



といっても大した事じゃないんだけれどね。本当に。

たいしたことじゃなさ過ぎて、何から話せば良いか分からないよ。

―――ここに来るまでの経緯から話すのはどう?

うん、そうしよう。

私が幻想郷に入れさせてもらったのは、もちろんこの幻想郷の管理者様々なんだけれど、そのきっかけはちょうど百年ぐらい前かね。こんな日の届かない場所にいると時間の感覚がはっきりしないけれど、多分それくらい。

いきなりだけど、その年に大きな地震があった。そりゃもう、私が生きてきた中でも最大のね。

江戸の方で揺れたらしかった。そっちから逃げるように去る人間がたくさんいた。

興味本位でね、江戸に行ってみたのさ。そしたらものすごい量の家が炭になってた。

私は結構驚いたものだけれど、でもまあ、私も妖怪さ、それに乗じていろいろしてみた。

人間が妖怪を信じなくなってきてる時代だったから、私もあまり強い力は振るえなかった。だから力を少しでも取り戻そうとちょっとやっきになってたかもしれない。

まずは、いつもどおりに―まあ久しく力を振るってなかったけど―流行り病をちょっと流してみたんだ。

そしたら人間たちが、こういい始めた。朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだんだ、って。

私は訳が分からなくて、単純な病気だったからそんなことを言ったんだと思った。だから、次は精神にくる病気を流してみたんだ。広い範囲にね。

すると今度はなんていい始めたと思う?

また朝鮮人が何かするぞって、妄想ばかり始めた。そう、私の病気にかかったやつらの勝手な妄想さ。

強盗、暴動、殺人……そんなことをされるって、思い込み始めたんだ。

―――おそらく一度目に広めた病気が原因で妖怪よりも人間のほうに想像が言ったのでしょうね

何でもかまわないさ。ただそれだけのこと。事実は年月じゃあひっくり返らない。

それで私は決定的に力を失った。恐怖に行き先ができたら妖怪はおしまいさ。

で、江戸から離れてあちこち彷徨って。

そしてあんたに幻想郷に入らないかって誘われたんだよな、紫。


◇◆◇◆◇◆◇


「幻想郷へ誘ったのは覚えているけれど……そんないきさつがあったのね」

「なんか……私と違って苦労してるのね、ヤマメは。私は、そんな……」


土蜘蛛は苦笑する。


「苦労なんて、せずにすむならそれが一番良いに決まってるさ。でも、ちょっと長く生きればすぐに降りかかってくるのが苦労って奴。なら、もっと長く生きると……どうなるんだい?」


境界を操る妖怪はただ口元を笑みの形にしてお猪口を突きつけて、土蜘蛛に注いでもらう。


「んっく、ところであなたの年を知らないわね、教えてもらえるのかしら?」

「そういえば知らない……」

「そうねえ。ざっと、400ぐらいかしら」

「あら、もっといってると思ってたけど?」

「酒注いでやるからちょっと黙ってな」

「ヤマメの能力からして、平安ぐらいから生きてると思ってたわ、私」

「平安の時代の流行り病は別の土蜘蛛が起こしたものよ。名前が思い出せないけれど……」

「ああ、私は知っている。カンダラっていったぞ、確か。死ぬ直前にあったことがあるんだが、すごくでかい奴だった。まあそれだけで、能力もそのころには衰えてたよ」

「たしか孫か曾孫が人間に踏み潰されそうになったときに踏み潰されずにすみ、極楽に行ってからその人間を助けようとしたのよね」

「へえ、よく知ってるなあ」

「まあ、すごく狭量な人間で、結局地獄にまた落ちることになったのだけど」

「だめじゃん」

「だめじゃない」

「人間ってそういうものよ」


境界を操る妖怪はまた杯を傾ける。


「まあ、あの地震の起きた時とは違い、今外の世界に何か起きたとして、朝鮮人だ中華人だと言って誰かのせいにすることは無いでしょうね。適当な理由を見つけ、それで安心し、解決する力を持っている科学を信奉する。それが外の世界になってしまった」

「妖怪の出番は無いってか」


土蜘蛛がお猪口を仰ぐ。


「そう、妖怪はもうほとんど幻想郷でしか生きていけない。悲しむかどうかは個人の自由だけれど、自分が妖怪だという自覚だけは忘れず持っていてもらいたいわね。……お酒、御馳走様」


幻想郷の管理者は境界を繰って消えてしまった。


「なんというか、自分勝手な奴だなあ……」

「私は、あの妖怪が少し怖い」

「まあ、幻想郷で誰よりも強いやつだしなあ。そう思うのも無理ないさ。

 じゃあ、今度はキスメの番だ――――――」

「うん、ええとこの話は――――――」



思いついたのでさらっと書いた(30分ぐらいかな

紫にため口なヤマメ、いいんだろうか.

キスメの口調が安定しない。ていうかあまり二次でキスメ見てないな、俺

あと、ダッシュ(――― ←これのこと)の間が途切れるのがどうにかならないか


以上、思ったこと

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