『記録5』 純也は意外と策士担当だ
~前回のあらすじ~
伊勢原純也
朝から姉さんは冷たかった
放課後は、咲に悪態をつかれつつ過ごす
と思ったら、部屋には咲の他にもう一人がいた
桐木さんは俺たちに告白するための手伝いをしたいらしい
何かラブコメが少し嫌いになった
「大根岸隆太。同じく二年でサッカー部所属で時期部長。顔は格好いいと言うよりも、可愛いという印象があるけど、シュートを決めるときに見せる顔がかっこいいと評判。まぁよくあるモテる奴だよね」
咲は手元の資料を見ながらそう言った
今の状況を説明すると
告白がしたいと依頼→どうするか悩む→
そうだ、相手を知る所から始めよう→
資料を取り寄せ見てみる←今ここ
である
分かりにくかったらごめんなさい
そして、今回のKeyターゲットのこの男は
咲の言う通りモテる典型な男だ
毎年、チョコを貰いすぎて処理に困っているような男だ
・・・くそぉ
俺だって、姉さんのとかそこら辺にしか貰ってないのになぁ・・・
リア充めぇ
まあ、リア充の恨み辛みは置いといて
俺から見てだが、桐木さんは学園のマドンナとか言われても全然違和感がなくて、あの大根と比べてもか・な・りお似合いなカップルになるだろう
あくまで、見た目はだが
まぁ、そこは彼の性格を知らないので
なんとも言えないけど・・・
「彼は、性格もいいようだね」
止めを刺された
イケメンで運動できて性格もいいとか
チートだ!俺は、神に喧嘩を売るぞ!!
と思っている俺の横で咲は桐木さんに聞く
「宮さんはこれがタイプの男なのかい?」
「はい。私見た目とかは基本気にしないタイプなんです。好きになった男性に顔とか関係ないですし。」
でも、そういうことを言う女性って大抵イケメンとくっつくよね
あれかな?
心が綺麗なイケメンと心が綺麗な美女って、引かれ会う運命だったりするのかな?
うん
運命なら仕方がないよね
リア充爆発しろ
「彼はなんというか...綺麗なオーラを出してるじゃないですか!」
そう言われたので改めて写真を見ると
何か大根の回りの空気が澄んでいる気がする
何か、綺麗じゃね?空気
お前は木か!二酸化酸素を吸って酸素出してるのかお前!
とんだビックリ人間も居たもんだ
俺がそう思いながらも隣の咲を見ると
何か浮かない顔をしている
「どうした咲?浮かない顔して。綾鷹が胃に当たったのか?」
「綾鷹はなにもしていない上に胃に当たったわけでもない!!純也、君と言う男はレディに対する接し方がなっていないようだね。小学校の先生にでも改めて習い直してきた方がいいよ。いや、大したことではないのだけどね」
いや、お前は罵倒しないと生きていけないのか?
そして長い上に心を抉るよ
本題にはいるまでが長いよ...
「それじゃ、どうしたんだよ?」
「いや、このような完璧な男を好きになる理由が僕には分からなくて...」
ほう
それは何か、少し以外だ
このような性格でも人を好きになるのかと言うことではなく
こいつも何かと完璧そう(想像)だから
大根みたいなタイプは結構相性がいいと
思っていたんだけど...
本人からすれば違うのだろう
「僕はこういう・・・まぁ・・・何と言うか、完璧すぎる男性と言うのは気味が悪くてね。出来るならば少しダメな奴が僕の好みだ」
そうかぁ
それじゃ、俺は当てはまらないなぁ
ほら、俺って気遣いもできるし
頭は馬鹿ってほどでもないし
ちなみに、咲がチラチラ俺を見てくるんだけど
しかも、見ている人の期待を裏切ってとても冷たい目線で見てるし
まるで「君は今まさにとんでもない間違いをおかしている。君は完璧てはない上、気遣いもできない。気遣いって言葉を知っているかな?とりあえず中学校からやり直した方が知地球に優しいと思うよ」とでも言いそうだ
うるせぇよ
それにしても、アイコンタクトで人の心を傷つけるとは凄い奴だな!!
俺が咲の職人技に感動しているなか
桐木さんは咲に言った
「えぇ~!!良いじゃないですか完璧な人。私って、大切なときにドジなことしちゃうから、こういう人って凄い憧れちゃうんですよね~!!」
なるほど
憧れからの好意か...
すっごい羨ましいっ!!
俺も、そういう恋してみたい!!
いや、さすがに無理だろうけどね...
くっ!!
「ほらっ、完璧と言うのはあれだろう?一緒にいてつまらないと言うか...あぁもう!!何で僕が自分の好みの男性を発表しなければいけないんだ!!」
「いや、咲?お前が勝手に言い出したんだぞ?」
「ううう、うるさい!!男である君には関係ない!!」
「ヨクワカンネーナ」
うーん
これが乙女心と言うものか?
確かによく分からん
まぁ、これが男と女の感性の違いなんだろうな
俺もいつか分かるようになりたいな
そう切実に思いました(まる)
なんか、日記みたいになったな...
「とにかく!!」
咲は机をバンッ!!と叩き立ち上がると
腕を組んで少し考えながら言った
「今は宮さんの好きな人が分かったんだ。今の状態からどうするかが大切だろう。」
まぁ、その通りだよな
そして、今重要なことは桐木さんが彼と知り合っているかいないかだ。返答次第でワンステップもツーステップも踏むことになる
「桐木さん。この大根と話したときありますか?」
「え?話すですか?そういや彼とはそん桐木に話したときがないかもです。」
「そうですか...それでは、彼との接点は?」
「接点・・・?うーん・・・っあ!」
そう言うと一瞬考えたが宮さんは
なにか一つ思い出したようだ
「おっ?なにか思い当たりましたか!?」
「はいっ!!」
お?
これは少し期待してもいいんじゃないか?
いい感じに元気だし、期待を持って聞こう!
「それで何を思い出しました?」
「前に廊下で挨拶しました!!」
ズテテッ!!
そんな効果音が似合うだろう
俺は漫画みたいにコケた
恥ずかしい...
とても恥ずかしい!!
俺が赤面している間、代わりに咲がツッコんでくれた
彼女も流石に呆れているようだ
「宮さん...それじゃ、クラスメートの一人っていう認識だよ・・・。そこまでだと友達って言う認識はないんじゃないかな・・・?」
「えぇ!?」
よほど驚きだったのかとても驚いてた
それにしても咲はよく頑張った
あれだけオブラートに包んで
俺だったら8行くらい罵倒されてたに違いない
うん、されてた
まぁ、何はともあれ最初のステップは決まった
まず、大根と友好関係を持つ事が最初のステップのようだ
そして俺は結構長くなる予感がした
まぁ、予感がするだけだからいいのだが
「まぁ、取り敢えずだけど友好関係を持つためには共通の話題を出して盛り上がるのが一番みたいだね」
「やっぱりドラマとか?」
「うん。多分それが一番無難な選択だろうね。まぁ僕自体は、ドラマとかテレビは見ない方だから純也がどんな話題にするか決めてくれないか?」
俺は確かにテレビをよく見る方だと自覚している
だからか、テレビを見ない人の気持ちがよく分からないんだよなぁ
何してんの?ネットでもやってるの?
よくわからん...
まぁ、とりあえずOKしておこう
あ
ついでにテレビを見ないで何をしてるか聞こう
「分かった。あとなんだが、テレビを見ないて何をしてるんだ?」
「え?僕かい?僕は...そう。よく本を読んでるよ。それこそ分厚いやつ。読むのに苦労するんだがなかなか面白くてね。つい時間を忘れて...何てよくあることさ」
聞いてもいない情報をペラペラと喋ってくれました
それにしても、なるほど
読書...か
最近まるで読んでないな...
借りて読んでみるか
咲から借りるのも面白いかもしれない
って、ん?
苦労?反応するの遅れたけど
好きな本を読むのに何に苦労するんだ?
「咲?さっき苦労するって言っていたけど何に苦労するんだ?」
「え?いやはは。つい当たり前のように言ってたよ。普通はあり得ないんだった。」
はい?
「どう言うことですか?」
あ
出番ないから横から無理矢理セリフ盗られた
桐木さんは以外と強欲なようだ
そして、咲の口から予想外の言葉がでた
「ハ○ーポ○ターの原本だよ。最近自分のなかで和訳して楽しむのが一種のマイブームなんだ~」
うん。分かってた
こいつがものすごく頭いいことぐらい
ほら、よく考えてみて?
このキャラで頭悪かったら完全に頭弱い子だよ?
うん。たぶんハ○ーポ○ターの原本読めないとやっていけないんだろうね
・・・・・
ぐすん...
「いやいや、僕は英語が好きなだけだから!!それに君だってこの前のテストで国語が学年一位だと聞いたが?」
「い、一位ですかっ!?」
驚いた表情を見せる桐木さん
うん。確かにとりましたよ?
でも、数学が赤点ギリギリだと言うことをちゃんとここに明記しておこう!!
いくら完璧な俺でも数学には敵わないのだ
ん?でもそれって完璧と言えるのか?
まぁ、いいか
「まぁ、頭いい悪いの問題は置いといてだ。最近男女関係なく流行りのドラマと言えば『戦国なう!』だろーな」
「『戦国なう!』?それはどういうドラマなんだい?」
俺が提案したドラマ名に「?」な咲
でも、肝心の桐木さんはピンと来ているようだ
「それ見てます!主人公の奥原君が戦国時代でラブコメしちゃうドラマですよね!」
「その通り!!」
『戦国なう!』
先月から始まった、土曜9時にやっているドラマで視聴率は今も鰻登りという今年最高のドラマだ
主人公の奥原道輝(17)は学校帰りに突然拉致される。着いた先は今をときめく博士こと雨名越博士(55)のところだった。話によると、博士はタイムマシンを作ることに成功したそうだ。しかし、乗るためにはその適正がないといけないらしい。ちょっと探したところ、道輝が適正しているそうだ。まぁ、そのあとも色々あるのだが、とにかく大人も子供も見やすくて、設定がラノベっぽいからかオタク層の支持も集め、誰でも楽しめる作品になっている。人間関係のゴタゴタもあるので主婦層からの支持も厚いらしいよ
「このドラマさえ押さえておけば今年のドラマを押さえたも同然とテレビでも言っている!しかもだ。大根は、このドラマの大ファンだとこの資料に書いてある!近づくためにはこれしかない!!」
この力説の後二人から「おぉ~」と聞こえた
決まった...と言いたいところだが
残念ながらこの作戦には穴があることに気づかなければいけない
まぁ、それはもう少し後になってから
「関係ないんだが、なんで「おおねぎし」君を「だいこん」と呼んでいるんだい?」
「女にモテる嫉妬からです」
「なんじゃそりゃ・・・まぁ、これで宮さんはステップ1を踏むことが出来る。宮さんはそのドラマについてはある程度の知識は持っているようだし今日は解散でいいかい?」
「いや、駄目だ」
そこでストップをかけた
そう、このままだと穴に落ちてしまう
そしたらゲームオーバーだ
ん?何かうまいこと言わなかったか俺?
そんなことはなかったぜ
「どうしたんだい?純也?」
咲は無駄な罵倒を言わず聞いてくれた
うわっ!何か超嬉しい!!
...と、ここで恍惚のは表情を浮かべたら罵倒されてしまう
気を付けないと
「うわ!!なんだいその表情!?気持ち悪い!!」
時すでに遅しのようだ
まぁ、ここはうまく誤魔化そう
「ふふ...その質問を待っていたんだ咲!!ちゃんと質問してくれたから思わず自分でも引くような笑顔を作ってしまったんだ!」
「何か不思議なテンションですね伊勢原君」
「まぁ、ある意味通常営業じゃないかな?」
いや、普段はこんな反応しねぇーよ
自分でも初めてこんなリアクション取ったわ
でも説明しても多分分かってくれないから説明しない!!
「まぁ聞けって。さっき話してた内容。実は、穴があることに気づいているか?」
「「穴?」」
ふふ、気づいてないようだな
まぁ気づいていても構わないけど
「さぁ!よく聞け!!穴と言うのはなだ「大根岸君とその話題で話すためにはドラマだけではなく原作の小説も読まなければいけないだって!?大ファンだからドラマだけじゃあ足りないのか...」
「えぇ!?小説の方も読むんですか!?」
「クソォォォォォォォォォォォォォォォォ!?」
俺は叫んだ
恥ずかしさとか悔しさとかが一気に押し寄せてきて、俺は泣いていた
と、思わず真面目に語ってしまうくらい恥ずかしい!!
そして、あいつはあいつで酷い!
分かってるなら言えばいいのに!
いじめだ!
本当にきつい...お家に帰りたい...
「純也君、今まで以上にブラックなオーラを醸し出してますね」
「げ、少し遊びすぎたかな?」
もちろん意気消沈な俺には届かず
その後数十分、女子二人の前で失態を見せびらかすことになった
計画が始まる前に鬱になった...
早く終わらないかな...
早く終わることを願い続けよう
そう心に決めた俺だった
はい。今回は依頼をやっと受けて進めるかと思ったら進まない話です
ちなみに資料は先生に頼みました
行動力のある先生です
次回は、ガンガン進む予定
まだ桐木編の半分も来ていませんが
気長にお待ちください
どうもでした