第4話:あなたがママだったら
少しずつ、美咲との時間が日常に溶け込んでいくレイナ。
公園、放課後、そして夕食――彼女にとって「美咲さん」は、誰よりも近く、安心できる存在になっていった。
そんなある日、ふとレイナが口にした願いが、美咲の心に優しく、そして深く響く。
春風がやさしく吹く放課後、公園のブランコに座るレイナと美咲。
レイナ:「今日、学校で“家族の絵”を描いたの」
美咲:「どんな絵を描いたの?」
レイナ:「パパと……あと、美咲さんも描いちゃった」
美咲は驚き、そして目を細める。
美咲:「そっか、私も描いてくれたんだ。ありがとう」
レイナ:「だって、美咲さんがママだったら……きっと、いっぱい笑ってくれる気がしたの」
美咲の表情が一瞬止まる。
レイナはうつむいたまま、少しだけ声を震わせて続ける。
レイナ:「ほんとのママは、もう笑ってくれないの。だから……」
沈黙。
美咲はそっとレイナの手を握る。
美咲:「私も……レイナと家族だったらいいな、って思うよ」
その夜。
陽介は残業を終え、家に戻ると、レイナが何かを描いていた。
陽介:「何描いてるんだ?」
レイナ:「家族の絵、描き直してるの。今度は、3人で写ってるやつ」
陽介:「3人……?」
レイナ:「パパと、私と……美咲さん。ふふ」
陽介はその笑顔を見て、胸が温かくなるのを感じた。
陽介:(心の声)
「こんな笑顔、いつぶりだろう……」
数日後。
レイナの提案で、美咲が夕食を一緒に食べに来ることになった。
食卓には、陽介が初めて作った煮込みハンバーグ。
不格好だが、美咲は嬉しそうに手を合わせる。
美咲:「いただきます!」
レイナ:「パパ、今日のはすごいね! ちゃんとハンバーグの形してる!」
陽介:「失礼な(笑)」
三人の笑い声が響く食卓――
そこに、かつて失われていた“家族の時間”が確かに戻り始めていた。
次回予告
「次回、『父になる覚悟』
守るべき存在のために、父は人生を変える――」




