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あまりにもアルバムに夢中になっていたので、
ひょいとアルバムを取り上げられて、
あれ?となってしまった。
「あら、ライオネル様?」
そこには少し怒ったような、複雑な顔した、
ライオネル様がいた。
「いつの間に?」
「きちんち入室の挨拶はした、
それも気づかない程夢中になるなんて、
このアルバムがそんなに気に入ったのか?」
「はい!それはもう!!!」
私が笑顔ではっきり答えると、
ライオネル様は更に複雑そうな顔をした。
「何も面白くないと思うが」
「そんな事はありません!
可愛いライオネル様をいっぱい見れて幸せです!」
「可愛い?」
耳がシュンと垂れ下がったを見て、
これは駄目だと思い。
「今はかっこいいですわ!」
そう言うと、耳がピンと立ち、
尻尾が私を包むように回された。
私は尻尾に誘導されるように、ライオネル様に近づく。
「それで、どうしてライオネル様が?」
ここにいる理由が気になって聞いてみた。
「エターニャに呼び出されたと聞いてな」
エターニャ様が何か私を攻撃しないか気になって
わざわざ来て下さったという所だろう。
エターニャ様はシュンとなっている。
「エターニャ様には、楽しい時間を過ごさせて
もらいました」
私は笑顔で答える。
「とにかく迎えに来た、一緒に帰ろう」
エターニャ様のお招きを受けて20分ぐらいしか
経っていない。
アルバムの続きも気になる所だが、
メイド達の様子からしても、帰った方がいいだろう。
「エターニャ様、本日はありがとうございました、
とても楽しかったですわ、
またお茶会にお誘い下さいませね」
私は挨拶をして、外に誘導するライオネル様に続く。
尻尾でしっかりガードされているので、
ほとんど体をぴったりとくっつけて歩く事に、
最初は少し戸惑ったが、
私の歩調に合わせてくれているのに気づき、
自然に体を預けて歩くようになった。
馬車に乗り込むと、ライオネル様が口を開く。
「申し訳なかった」
「何がですか?」
「知っていると思うが、エターニャは俺に近づく女を、
全て牽制して、追っ払っていたんだ、
嫌な思いをしただろう、すまない」
そう言って頭を下げる。
「頭を上げて下さい、
先ほども言いましたが、嫌な思いなどしていません、
むしろ、ライオネル様の事を知れて嬉しかったです。
これからは、ライオネル様が自身の事を、
もっと教えて下さると嬉しいです」
笑顔でそう言うと、明らかにほっとしたようだった。
「ありがとう」
その初めて見る笑顔に、胸がドキン!とする。
イケメンの最高級の笑顔、頂きました!
あああ!写真に収めておきたい!
私もアルバムを作りたい!
ライオネル様をぐっと近くに感じながら、
馬車に揺られていた。