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エターニャ様のお屋敷に向かう。

あいにくの雨で、ドレスが濡れないように、

細心の注意を払う。


黒で複雑にデザインされた門を抜ければ、

お屋敷が見える物の、公爵家の家としては

こじんまりとしており、


その代わりと言ってはなんだが、

広大に庭に、大きな噴水が中央に置かれ、

小川が流れていた。


木も貴族の庭は針葉樹が多いのだが、

果樹が多く植えられており、

所々で果実が成っているのが見られる。


天井もドーム型で、エンブレムもない所からして、

本邸ではなく別邸なのかもしれない。


馬車のまま広大な庭を通りすぎ、

お屋敷の入り口のすぐ前で馬車は止まった。


侍従の手を借り、馬車を降りる。


扉が開かれ、白と赤で統一されたロビーに足を踏み入れる。

そのままメイドに案内され、一室の前に来た。


大きく深呼吸をする。


ガチャリと音がして、扉が開かれる。


中から現れたのは、銀色の髪の獣人の女性。

ドレスは青色で、

銀の髪に映え、ドレープを描くスカートが、

魅力を更に増していた。


「お待ちしておりました」


笑顔で歓迎してくれているが、

尻尾はピンと立ったまま、

警戒されているのが分かる。


私はそれをあえて無視して、笑顔で挨拶する。


「お招きいただきありがとうございます」


「さあ、立ち話も何ですわ、おかけになって」


テーブルにはアフタヌーンティーがセットされており、

メイドがすぐに紅茶を淹れてくれる。


私はまずその紅茶を飲んだ。


「美味しい紅茶ですのね」


ミルクティだったがしっかりした味がして、

しかし苦味や雑味がまったくなく、

本当に美味しい一杯だった。


「ロディアの葉ですの」


「え?」


ロディアの葉は少しクセがあり、

一般には流通してないが、

高級店では少し安めの茶葉だ。


「ロディアのお茶がこんなに美味しいとは

 初めて知りましたわ」


「喜んで頂けて嬉しいですわ」


うふふふと笑い合う。


いや、エターニャ様。

目、笑ってないですよ・・・・

尻尾もまだピンと立ったままだ。


「お菓子も召し上がれ」


「ありがとうございます」


そう言って、スコーンに手を伸ばす。

それからスプーンでクリームを乗せそれを口に含む。


あら、これは本当に美味しいわ、

美味しくみせかけた、まずい物を食べさせるという、

初歩的ないたずらはされないようね。


私は少し、エターニャ様に心を許す。


「今日来て頂いたのは、

 ライオネル様とお見合いをなさったと聞いて・・・

 でも、ほら、ライオネル様って口下手というか、

 あまり自分の事を話さないと言うか。

 なので、私がライオネル様の事を

 教えて差し上げようと思ったの」


「ありがとうございます」


どうやら、私の方がライオネル様に詳しいのよ!

という牽制らしい・・・


でも、私にはノーダメージ。

全く気になりません。


と、言う事で、お菓子を堪能していた。

むぐむぐ、本当に美味しい。


「ライオネル様って、子供の頃、水が苦手でしたの、

 なので、克服する為、私が噴水に突き落としましたのよ」


うーん、それは逆にトラウマにならなくて良かったというか。


「ダンスも苦手で、私が徹底的に仕込みましたの、

 リードができるのは私のおかげですわ!」


まあ、リードが上手いのはありがいですね。


その後も、ライオネル様と、

子供の頃をこんなに知っているトークが繰り広げられたが、

私はそれらを楽しく聞いていた。


「そうだわ、アルバムを見られる?」


「ぜひお願いします」


ライオネル様の小さい姿!興味ある。


メイドが持ってきた、大きなアルバムを捲る。


すると、お見合いの時はきっちり着こなしていたスーツが、

完全にスーツに着せられ、服に負けている姿や、

母親に抱っこされて、幸せそうな顔をしている、

ライオネル様を見て、つい顔が緩んでしまった。


何、これ~ 可愛すぎ!!!


ライオネル様との結婚は、子供を作る為だが、

こんな子供が産まれるのかと、妄想が広がる。


うん、こんな子供なら何人でも欲しいよ~


私は夢中になってアルバムをめくっていた。

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