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「待たせたな」
そう言って現れたのはライオネル様。
うん、さすがゲームの世界、
かっこいいですね!
私が王太子から、すぐにライオネル様に、
気持ちを切り替えできた要因に顔も大きい。
人間の顔に体躯。
しかし。獣人らしく、獣の耳と尻尾がついている。
あ~あの尻尾ふさふさ~触りたい!
そう思いながら立ち上がり、カーテシーをする。
「お久しぶりでございます」
夜会で何度が挨拶だけはしているので、
顔なじみではある。
しかしまったく親しくはない。
ライオネル様に促されて、席に座り、
ライオネル様も席に座る。
すかさず紅茶が淹れられる。
ライオネル様は、銀の髪に青の目。
はあ~綺麗なお顔、ずっと見ていてもあきないわね。
そう思っていると、どうやらライオネル様を
見つめていたようだ。
「そんなに見つめて、何か気になる事でも?」
「いえ、かっこいいなと思って」
素直に声に出すと、
「そうか」
とライオネル様はそっけなく言って、無表情を装い、
慌てたように紅茶を飲むが、
尻尾がぶんぶんと振られ、喜んでくれているようだ。
尻尾は正直なのね。
「庭、凄く素敵ですね」
「そうだな」
「いい天気ですね」
「そうだな」
そんな感じで、話はまったく盛り上がらず、
ぽつぽつとしか話せなかった。
本来なら、お見合いは失敗、
次はなくても仕方ない所かもしれないが、
私はライオネル様に好印象を持っていた。
姉から、あまり女性が得意ではなく、
浮名を流した事はないと聞いていた。
私としては、軽薄で女性を手玉にとる人物より、
不器用でも、真剣に女性に向き合い、
大事にしようと思ってくれる人の方が好感度は高い。
「私を守って下さいます?」
「もちろんだ」
そんなやり取りに、まだ恋心はないけど、
好感度は高いわね!と満足に浸っていたのだった。