4
私はお菓子を食べて、落ち着いてから、
何度も頭の中で考えていた話をする。
「実は・・・・将来の事を夢に見たの」
「それで?」
姉は真剣に聞いてくれる。
本当にいい姉だわ。
「この国では人間と獣人とで争いが起きる、
それを止めるのが私の子供なの」
「え?」
子供と聞いてびっくりしたのだろう、
姉が手で口を抑える。
あ~やっぱりそういう反応になりますよね。
すみません・・・
「で、誰との子供なの?」
驚きはそのままに、真剣に聞いてくれる。
「ライオネル・ルイ・ギルバーン公爵です」
その場に沈黙が下りる。
「そうなのね、アマリアはどうしたいの?」
あくまで夢なので、無理にライオネル様と、
付き合う必要はないと言外に含めて聞いてくれる。
「私・・・ライオネル様とお見合いしたいと思うんです」
「アマリア!」
姉は相当驚いている、
当然と言えば当然だ、今まで王太子と結婚したいと、
さんざん姉に話してきたのだ、
夢ごときで急に心変わりしては、不信に思うだろう。
「王太子様はいいの?」
「はい、私はこの国が好きです、
この国に生まれた高位貴族として、
この国で反乱が起こる可能性があると分かって、
放置はできません。
私はライオネル様に嫁ぎたいのです」
「そう」
そう言うと、姉はしばらく考え始めた。
姉が考えている時、無言になるのはよくある事なので、
私はじっと待つ。
正直、私では両親を説得したり、他の貴族との力関係の調整、
お見合いの手配は難しい、
こういった事に一番頼りになるのは姉なのだ、
私は祈るような気持ちで紅茶を手に、姉の返事を待つ。
「分かったわ、でも、いくら国の為とはいえ、
アマリアが不幸になるのは許せないわ、
お見合いは設定します、
しかし、大事にされていないと分かったらすぐ別れる事。
結婚を認めるかは別よ」
「ありがとう、お姉様!」
私は笑顔で姉にお礼を言う。
やったぁ~、姉がこう言って下さったら、
お見合いは間違いないわね。
両親も姉からの打診なら、受け入れるだろうし、
あとは父から確認があったら、
お見合いを受けると言うだけ。
本当に姉がいて下さって良かった。
私はほくほくの笑顔で、姉の部屋を後にしたのだった。