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「疲れた~」
「お疲れ様」
舞踏会の後、私と姉は王宮に泊まる事になった。
「お姉様おめでとうございます!」
「びっくりしたわ、とっくに王家からお話はあったのに、
驚かせようとお父様はずっと黙って
いらっしゃったんだから」
「まあまあ、これでも食べて」
そう言ってフルーツサンドを姉に差し出す。
舞踏会には料理も用意されているが、
それらを楽しみにできるのは下位貴族だけ、
上位貴族となると、挨拶回りで、
食事をする余裕など取れない。
しかも、王太子と婚約となった姉は、
ひっきりなしに挨拶に訪れる貴族の対応に追われ、
ドリンクがせいぜいだったのだ。
「お肉ももらいますね」
「そうね」
そう言って、控えているメイドに、
肉の料理も持って来て欲しいと告げる。
メイドが希望を伝えに行っている間に、
他のメイドが来て。
「ライオネル様がアマリア様に会いたいと
おっしゃっています」
「ライオネル様が?」
姉と顔を見合わせ合う。
もう、すでに髪は解いてしまっている、
ドレスも着替えた方がいいので、
少し時間が必要だと判断した。
「準備をするから20分後に来てくれるかしら、
ライオネル様にもそう伝えて」
「かしこまりました」
メイドが出て行き、食べかけのフルーツサンドを、
全て食べ終えた姉が話しかけてくる。
「私も少し出かけるわ」
「まあ、アレクシス様とですか?」
そう言うと、顔をほんのり赤く染める姉に、
これは両想いになりそうねと嬉しくなる。
「お肉料理は残しておくので、
安心して行ってきてください」
「ありがとう」
そうして、出て行く姉を送り出す。
さて、ライオネル様に会う為に着るドレスは、
どれにしようかしら・・・
そんな事を迷っていると、
トントンと扉を叩く音があった。
肉料理かな?と思う。
控えていたメイドも、そのまま戸を開けた。
すると、
「うぐっ」
という小さな声と、
ドサっという人が倒れる音、
ばたばたと2人の男性が部屋に入り込む。
え?と思って、誰?と声を上げようとした時、
いきなり口を塞がれてしまった。
奇襲?
どうしよう・・・・殺される?
体中から汗が引くのが分かった。
「ご安心を、殺したりはしません、
ただ、処女だけ失って頂く、
他の男性に辱めを受けたとなると、
王妃にはなれないですのでね」
丁寧に説明してくれる襲撃者に、
どこが安心なのよ!と心の中でつっこむ。
どうやら私の事を姉と勘違いしているようだ。
私は素早く、護身の指輪を回す。
これでライオネル様の指輪は赤く光って、
緊急事態である事に気づいてくれるはずだ。
それに気づいた襲撃者がすかさず指輪を抜き取る。
「何をした?」
もちろん答えない。
と、言うか、口ふさいでるじゃない?
ちっと舌打ちした声がして。
「早くやってしまえ」
と仲間から声がする。
これはかなりピンチ?
口に布のような物を入れられ、手も拘束される。
ベッドに押し倒され、
男の手が体に触れるのを感じる。
その重みを感じ、体がぞくりとする。
気持ち悪い!
本能的に拒否をする。
どうやら早く、コトだけ終わらせるらしく、
いきなりスカートがまくし上げられた。
もう駄目かも・・・
目に涙が溜まる。
お肉料理を頼んでいたが、そのメイドも戻る様子はない、
恐らく、そのメイドもグルだったのか、
途中で攻撃され、拘束されているのだろう。
何とか抵抗しようと、うーうーと唸る。
「うるさい」
パチン
と頬を叩かれ、その痛みに、
心が折れそうになる。
しかし、このままされるがままになっていてはいけない、
必死の抵抗で、自由な足で
上に乗っていた男性の急所を思いっきり蹴り上げる。
「ぐわっ!」
男はいきなりの反撃に驚いたのか、私の横に転げる。
その時、扉が壊される音がして、
バンと扉が開けられた。
「アマリア!」
そこにはライオネル様が立っており、
その姿を見た後安心して、意識を失ったのだった。




