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私達の出番が来て、大ホールへと向かう。
しばらくするとファンファーレが鳴り響き、
王族の入場が告げられた。
王、王妃、王太子、そして2人の王女。
次々と入場してくる。
全員が入場を終えると王の挨拶があった。
その後、王と王妃のファーストダンスだと、
誰もが思っている時、動いたのは王太子だった。
誰もが固唾を飲んで、王太子を見る。
そんな中、笑顔で堂々と歩き、
リリアナお姉様の元へ行く。
「私と踊って頂けませんか」
そう言って、手を差し伸べる。
「きゃっ」という声が所々で上がる。
これは王太子が王太子妃を決めたと、そう言う事だ。
姉は、手をそっと差し伸べ手を重ねる。
そのまま大ホールの中央へ行き、
2人だけのダンスが始まった。
流れてきたのは、有名ではあるが、
ステップが難しい上級に位置するダンス。
ある程度の熟練度がないと、とても見れた物ではない。
しかし、2人はそんな事をまったく感じさせず、
初級のダンスを踊っているかのように、
軽やかにステップを踏んでいく、
姉がダンスが得意な事を知っていが、
それ以上の魅力をアレクシスが引き出している。
やるじゃない!アレクシス!
お姉様、素敵です!!!
私はどきどきと2人を見守る。
2人が躍り終わった時、
会場内からは大きな拍手が起こった。
これで表立って、姉が王太子妃になるのを、
反対する者は出てこないだろう。
次いで、私とライオネル様が婚約をした事が告げられ、
また大きな拍手をもらう。
母は涙ぐんでいた。
その後は、ライオネル様と2人でダンスを踊る、
ライオネル様のダンスの腕は中級といった具合だ、
王太子には及ばないが、貴族男性としては十分合格である。
「アマリアは本当にダンスが上手いんだな」
「ありがとうございます、
ライオネル様もダンスは苦手と聞いていたのに、
様になっていますよ」
「こればかりはエターニャに感謝だな」
それを聞いて、胸がもやもやする。
ダンスが苦手なライオネル様に、
エターニャ様がさんざんダンスの練習につき合わせた
という話は聞いた。
その時は何とも思わなかったけど、
今になって、私と出会う前のライオネル様を、
独占していたと思うと、もやもやが消えない・・・
何なのかしら?この気持ち・・・
「どうかしたのか?」
「いいえ何も」
私は胸のもやもやを気づかなかった事にして、
いろんな方に挨拶周りを続けようとした時、
ふいに腰に手が回される、ライオネル様の腕だ。
そのまま額に口つけされる、
すると不思議と、もやもやがすっと消えて、
ライオネル様に見つめられどきどきする。
やっぱりライオネル様が好き、
心からの笑顔を向け、挨拶の集団へと向かっていった。




