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「アマリアお嬢様、ライオネル様より、
プレゼントが届いております」
うんしょと大きな箱をエマが運び入れる。
その裏には母と姉がついてきて、
さあ!見せて!
とばかり目が輝いていた。
私はその目の輝きに押されるように、箱のリボンを解く。
そして蓋を開けた時。
「まあ、素敵!」
「本当!」
母と姉が嬉しそうな声を上げる。
見ただけでも、一流の素材だと分かったが、
手に取ってみるとそのさらさたした手触りに、
いったい、いくらしたんだろうと、つい考えてしまう。
「ライオネル様の色ね」
少女のように弾んだ声で言う母、
姉も頷いている。
全体の色は白に近い銀色で、
その銀色の布には青でふんだんに刺繍がされている。
若い女性に人気の胸の下で軽くしぼるデザインで、
三段のディアードスカートがドレープを描き、
その先端には細かな刺繍が縫い付けられている。
肩は出るデザインだが、
胸元にはきちんとレースがあしらわれ清楚感あり、
格式高く品のあるデザインだ。
一緒に贈られてきたジュエリーもサファイアで青一色、
ライオネル様の色を纏うという事だ。
「ふふふ、獣人の男性は独占欲が強いというけれど、
本当のようね」
「”俺の者”というアピールが凄いわね」
2人に言われ、その通りなので黙っている。
内心嬉しくて仕方ないので、私もたいがいだろう。
「すでに、婚約の書類は提出しているけど、
今度のパーティでお披露目となり、
多くの貴族に婚約を知らせる事になるわ」
「はい」
「嬉しそうね」
そんなに顔に出ているのかしら?
「お姉様は?」
「私は・・・」
あれ?アレクシス、
姉にドレスを贈る約束をしていないの?
フォローするように母が話す。
「リリアナはブロレーズロティックのドレスを用意
する予定なの。すでに予約はしてあるわ」
「今からオーダーは間に合わないのでは?」
母はなぜか慌てて。
「大丈夫よ、サイズも伝えてあるし」
と口ごもった。
母らしくないなと思ったが、
何か事情があるのだろう、あまり突っ込まない事にする。
しかも、ブロレーズロティックは、
王妃様がお気に入りのブテックだ、もちろん一流だし、
そのデザインは令嬢の視線を集めるだろう。
その後は、サイズの変更が必要ないか、
試しに来てみたり、女3人で楽しい時間を過ごした。




