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ライオネル様とお見合いをして、
その後、何度かお会いした。
最初はあまり表情が動かなかったライオネル様だが、
最近は嬉しいオーラが溢れていて、
こそばゆい気持ちにさせられる。
様々なプレゼントももらった。
それらを眺めて、うーんと悩む。
何かお返しがしたい。
しかし、公爵のライオネル様なら、
何でも手に入るだろうし、
女性からの贈り物は手作りが愛情が深いと言われる。
なので、オーソドックスだが、
ハンカチに刺繍をしたが、
それだけだと、贈られた物に釣り合わない気がする。
なんせ公爵から贈られる物なのだ、
メイド達が感嘆の声を上げ続ける物ばかりだ。
それと、もうひとつ・・・
「カレーが食べたい・・・」
そう!前世の私は週3回はカレーを食べる
カレー好きだったのだ。
スパイスからきちんと調合するというこだわりを持ち、
健康にもいいのよねと楽しんでいた。
幸いライオネル様も辛い物好きだ。
しかし、カレーはこの世界には存在していない。
転生を隠したまま、いきなりスパイスを調合して、
問題が起きないかという心配もある・・・
数日悩んだ。
それこそ、料理本。
スパイスについて書いてある本を取り寄せる程に悩んだ。
そして、この世界にスパイスが存在し、
カレー再現が可能だと分かったら、
もう我慢はできなかった。
頭の中はカレーでいっぱいだ。
そうよ!これはライオネル様の為なのよ!
無理矢理そうこじづけ、
いそいそとスパイス屋に向かう準備をする。
高級店ならいざ知らず、市場の更に目立たない所にある、
スパイス屋に行く事に、メイド達は難色を示したが・・・
「調味料なら、調理の者に指示を出されたら、
良いではありませんか」
ぶつぶつ言われながらも、
父親の許可を取り、何とかスパイス屋に行ける事になった。
ちなみに、父を説得するには、
母に美容にいいと聞いたので試したいと言って、
母から父を説得した形だ、
貴族令嬢の中で、美容にいい、はかなりの説得力を持つ。
こうして、るんるんとスパイス屋に向かったのだった。




