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獣人公爵とスパイスな恋  作者: あいら


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10/27

10(ライオネル視点)

スカーレット嬢を屋敷まで送り、

エターニャの元に戻る。


「どうゆうつもりなんだ?」


俺の言葉に返答はない。


耳と尻尾がしゅんと垂れ下がっている所からしても、

かなりまずい事をしたという自覚はあるのだろう。


「今回のお見合いは、単なるお見合いではない。

 スカーレット家としては、領地の街道の、

 大きな整備と警備の増強。

 ギルバーン家としては、商業産地で作られる、

 産業品の有利な入手。

 それぞれ家にメリットが大きく、

 またそれらが国にも恩恵をもたらすと、

 国王陛下の許可を得てのお見合いだ、

 その話はきちんとしたはずだが」


エターニャは俯き、ドレスを握りしめている。


そして叫ぶように言った。


「それだけじゃないでしょう!

 2年間!アマリア嬢に片思いしていて、

 浮かれているだけじゃない!!!」


それは、と言いかけて、

涙ぐんでいるエターニャを見て言葉を飲み込む。


そして、立ち上がり、深々と頭を下げた。


「すまない、エターニャの気持ちは気付いていた。

 だが、俺はその気持ちに応える事はできない」


「頭を上げて!」


俺は頭を上げ、エターニャを見る。


「何も問題ないわよ」


話の展開が読めず、続きを待つ。


「スカーレット嬢は完璧だったわ、

 紅茶もわざと最高級品ではなく、

 ちょっといい茶葉を出しただけだったの、

 それを分かっても、嫌味も言わず、

 美味しいと飲んだわ。


 アフタヌーンティーでは、

 スコーンを一番最初に食べたの、

 スコーンを最初に食べるのは、

 聖二コラがスコーンだけ食べて、

 他のケーキは貧民に譲るよう言った逸話から、

 知る人だけの作法よ。


 それに、アルバムに集中している時ですら、

 姿勢は完璧、淑女のお手本を見ているようだったわ。


 王太子妃候補の最有力の1人、

 主に社交では右に出る者はいない、

 そう評価されているのに嘘はなかったわ」


俺は目を見開く。


「私のお茶会なんて、なんのダメージも与えていない、

 むしろ貴方の情報を提供しただけよ」


「そうか・・・」


無表情を貫きつつも、

どうしても嬉しい気持ちが出てしまっていたのだろう、

エターニャが複雑そうな顔をする。


「獣人のトップの令嬢として、

 スカーレット嬢を認め、支援するわ、

 それで今日の事は許して」


その言葉に正直驚く。

あのエターニャがあっさり認めるなんて。


「ありがとう」


そう言う俺に、やっとエターニャは、

普段の笑顔を見せたのだった。

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